フィギュアAIは、AIを活用した人型ロボットの開発で、世界中の大手企業から注目されています。ロボット開発をしている企業が多くある中で、フィギュアAIが特に注目されるのはなぜでしょうか。
この記事では、フィギュアAIに大量資金が集まる理由や、開発中の人型ロボットの具体的な活用事例7つを紹介します。
フィギュアAIの概要や現在の株価など、網羅的に情報を得られるため、ぜひ最後までご覧ください。
フィギュアAIとは?
フィギュアAIとは、人型ロボットを開発するアメリカの新興企業です。
フィギュアAIは、2022年にカリフォルニア州で創業されたばかりの企業ですが、OpenAI社と協力関係を結び、世界的な注目を集めています。
「人型ロボット」とは、「自分で考えて学習し、自律して仕事をおこなうロボット」と定義づけられています。
フィギュアAIは、ロボットとAIの融合により、AIの新たな活用方法を模索しているのです。
人間が入れないような危険な場所で作業をしたり、労働力の不足を補ったりと、さまざまな活用方法が期待されています。
フィギュアAIが開発する人型ロボットに大量資金が集まる
新興企業であるフィギュアAIには、世界的な有名企業から多額の投資があり、大量の資金が集まりました。
投資の総額は、2024年2月時点で6億7500万ドル(約1000億円)に達しています。さらに、企業価値も急上昇しており、26億ドル(約3900億円)と評価されています。
フィギュアAIの将来性に魅力を感じ、投資をした主な企業は以下の通りです。
- マイクロソフト:PCのOSシェア圧倒的No.1の「Windows」を開発したソフトウェア企業
- エヌビディア:GPU(グラフィックボード)でシェア92%を誇る半導体企業
- OpenAI:ChatGPTを開発した非営利研究機関
- ジェフ・ベゾス(個人):アマゾン・ドット・コムの創業者
上記のように世界に名だたるハイテク企業が、フィギュアAIに投資しています。その他にも、「インテル」のベンチャーキャピタル部門や、「サムスン」の投資グループも出資しています。
巨大企業から大量資金が集まる理由
世界的に有名な巨大企業から大量資金が集まる理由は、人型ロボットがブルーカラー(肉体労働者)の仕事を効率化できるためです。
これまでAIの技術は、多くの仕事を効率化してきました。しかし、ほとんどがホワイトカラー(事務系の仕事)の、以下のような仕事を効率化するのみでした。
- 文章生成AIによる報告書や議事録などの文書作成
- 画像生成AIによるチラシ用のイラスト作成
- 動画生成AIによる企業のPR動画作成
AIはブルーカラーの仕事に、大きな変革を起こせなかったのです。
ブルーカラーの仕事に変革が起きない理由は、人間による肉体労働のパフォーマンスの高さにあります。
荷物を指定の場所に持ち運んだり、複雑で細かな作業をこなしたりする技術は、ロボットには代替できないのが実情です。
ブルーカラーを取り巻く状況が変わらない中で登場したのが、フィギュアAIが開発している人型ロボット「Figure 01」です。
Figure 01のスペックは、以下の通りです。
身長:170cm
体重:60kg
最大積載量:20kg
持続時間:5時間
スピード:1.2m/秒
身長や体重は実在する人間のようですが、実際にできることも人間に近づいています。
たとえば、Figure 01は、人間と同じような動作で荷物を運ぶことが可能です。
Amazonは、倉庫での作業の自動化を目標としています。将来的には、Figure 01が作業を自動化してくれると期待しています。
その他にも、Figure 01は、コーヒーメーカーでコーヒーを淹れるような、繊細な作業も可能です。
将来的には、スターバックスやタリーズコーヒーなどのカフェに、Figure 01が並ぶ光景が見られるかもしれません。
フィギュアAIが開発する「人型ロボット」の活用事例7つ
Figure 01は、病院での医療や災害救助など、さまざまな分野での活用が予想されます。
ここでは、フィギュアAIが開発する、人型ロボットの活用事例を7つ紹介します。
1.現場での肉体労働
Figure 01の活躍がもっとも期待されるのは、現場での肉体労働です。肉体労働はAIによる自動化が進んでいない分野であり、世界のGDPの50%は肉体労働によるものとされています。
たとえば、建設現場や倉庫での「荷運び」や、道路工事現場での「機械作業」などが挙げられます。
大きな市場である肉体労働の仕事に人型ロボットが活用されると、ブルーカラーの働き方に大変革が起きるでしょう。
2.病院での医療
医療分野はすでに多くのAIが活用されていますが、人型ロボットが導入されると、さらに効率化が期待できます。
たとえば、Figure 01は自立した行動だけでなく、「遠隔操作」も可能です。離れた場所から医師が遠隔操作で手術をおこなえる可能性があります。
また、医師のいない地域でも遠隔で診察をすれば、地域格差の是正が期待できるでしょう。
人手不足が慢性化している「介護施設」でも、人型ロボットは活躍します。
介護施設の職員は高齢者の体勢を変えたり、車いすに移動させたりと、重労働が多い仕事です。人型ロボットであれば、疲れを感じずに重労働をこなせるため、人手不足の解消が期待されています。
3.災害救助
地震や水害・火災などの現場での災害救助は、人命を救う大切な作業ですが、救助している側が二次災害に遭う危険性もあります。救助隊にとって二次災害は絶対に避けるべきことであり、現場での行動が大幅に制限されます。
しかし、人型ロボットは人間と違い、怪我をする心配がありません。そのため、危険な現場にも突入していけるのです。
実際に災害救助の現場では、多くの救助ロボットが活用されていますが、救助ロボットのほとんどがキャタピラー式やタイヤ式であり、大きな段差や凹凸の激しい場所は越えられません。
人型ロボットであれば、人間と同じように段差を乗り越え、凹凸のある足元も苦労せずに進んでいけます。
さらに、サーモグラフィーや音波探知機を搭載すれば、効率よく救助者を発見できるでしょう。
4.学校での教育
人型ロボットは、学校での教育の効率化が可能です。
Figure 01が教師となり、学生に対して分かりやすい授業をおこなえます。また、Figure 01は会話ができるため、学生からの質問にも分かりやすく回答できるでしょう。
さらに、Figure 01は人間の教師と違い、24時間対応可能です。夜を徹して実験をおこなっている学生の補助をすれば、研究効率が上がり、世界的に有用な研究成果を発表できるかもしれません。
その他にも、以下のような効率化が期待できます。
- 学生のレベルに合わせた問題の作成
- 学生の学習ペースに合わせたカリキュラム作成
- 学生の得意分野を伸ばすためのスケジュール管理
Figure 01を教育現場に導入すれば、人間の教師だけでは手が回らない細やかな教育が実現できるでしょう。
5.家事代行
人型ロボットの普及が進めば、将来的に一家に一台が設置され、家事を代行してくれるかもしれません。Figure 01は、会話をしながら、さまざまな作業をしてくれるためです。
例えば、「何か食べ物が欲しい」と話し掛けると、テーブルの上からリンゴを渡してくれます。
さらに、「テーブルの上を片付けながら、先ほどの行動を説明してください」と話し掛けると、「リンゴを渡しました。テーブルの上で唯一の食べ物だったからです」と返答しました。
返答すると同時に、テーブルの上のゴミを片付けています。
Figure 01は会話もできるため、「一人暮らしの高齢者」の話し相手にもなります。
高齢者の話し相手になるロボットは、「コミュニケーションロボット」と呼ばれています。
高齢化社会で独居老人が増えていますが、精神的なケアまで手が回っていないのが実情です。
Figure 01と会話をして孤独感を紛らわせれば、認知症の予防にもなり、日本全体での医療費削減が期待できます。
6.軍事分野
人型ロボットは、軍事分野での活用も検討されています。
Figure 01ではありませんが、韓国の「ヒュンダイ自動車」傘下のボストンダイナミクス社は、人間型ロボット「アトラス」を軍用として開発しています。
アトラスは、危険物処理やけが人の救助がメインの目的です。しかし、人間を殺傷する訓練をしているとの情報もあります。
将来的には無数の人型ロボットが戦うようになり、人間の戦死者は減少するかもしれません。
7.エンターテイメント
Figure 01はプログラム通りの動きができるため、ミュージシャンのコンサートでダンスができます。コンサートで数多くのFigure 01がダンスを披露すれば、会場が近未来的な雰囲気に包まれるでしょう。
Figure 01は自然な会話もできるため、ミュージシャンとトークを繰り広げるかもしれません。
また、家庭での娯楽用として「エンターテイメントロボット」という分野もあります。エンターテイメントロボットとは、動作や行動により人々を楽しませるロボットです。
Figure 01が自宅にあれば、会話を交わしたり、一緒にスポーツをしたり、さまざまな楽しみが生まれます。
産業用の人型ロボットとして開発されたFigure 01ですが、量産が開始されたら、多くの人を楽しませるエンターテイメントロボットとしても活躍するでしょう。
フィギュアAIに関するよくある質問
フィギュアAIについての情報はまだ少なく、企業価値や株価などについて調べる人が多くいます。
ここでは、フィギュアAIに関するよくある質問を紹介します。
フィギュアAIの企業評価額は?
フィギュアAIの企業価値は、2024年2月時点で26億ドル(約3900億円)です。
2022年に創立された新興企業ですが、汎用的な産業用ロボットの開発が評価されて、企業価値が急上昇しました。
産業用の人型ロボットは需要が高い分野なので、今後も企業価値は上がっていくと予想されています。
フィギュアAIの株価は?
フィギュアAIは時価総額26億ドル(約3900億円)ですが、上場企業ではないため、株式の購入はできません。
ただし、将来的に多くの投資家から広く資金を調達するために、株式市場へ上場する可能性は高いです。
フィギュアAIが上場した際は、IPOで株を購入できます。IPOとは「新規公開株」のことで、証券取引所に上場するため、誰でも株式の取引が可能です。
ただし、IPOへの応募が殺到して、抽選になるケースもあります。
IPOで抽選に外れて株式を購入できなかった場合、セカンダリーマーケットで購入します。セカンダリーマーケットとは、すでに発行された株式を売買する市場です。市場が開いている時間であれば、いつでも売買可能です。
その他にも、フィギュアAIに出資している「ベンチャーキャピタルファンド」に投資して、間接的にフィギュアAIへ投資する方法もあります。
フィギュアAIに出資している主なベンチャーキャピタルファンドは、以下の通りです。
- Nvidia Ventures
- Amazon Alexa Fund
- マイクロソフト
- オープンAI
- インテルキャピタル
- LGイノテック
- サムスンベンチャー投資
ベンチャーキャピタルファンドは、フィギュアAI以外にもさまざまな企業に投資をしています。ベンチャーキャピタルファンドに投資をしても、フィギュアAIだけを応援できるわけではないため注意してください。
フィギュアAI開発の人型ロボットはいつ完成する?
フィギュアAIが開発している人型ロボット「Figure 01」は、開発中であり、まだ実用化されていません。
今後のスケジュールは、2024年中に試作品が公開される予定です。その後、2025年には市場に投入される予定となっています。
一般の人がFigure 01を見られるのは、まだまだ先になりそうですが、フィギュアAI社の公式YouTubeやホームページをチェックして、想像を膨らませましょう。
まとめ
フィギュアAIは、人型ロボットを開発するアメリカの新興企業です。
人型ロボットは、これまでAIが苦手としていた分野である、ブルーカラー(肉体労働)の作業効率を大幅に改善する可能性があります。汎用的な人型ロボットが完成すると、大きな市場を獲得できるため、世界中の大企業がフィギュアAIに出資をしています。
フィギュアAIが開発中の人型ロボット「Figure 01」は、以下のようなシーンでの活用が可能です。
- 病院での医療
- 災害救助
- 学校での教育
- 家事代行
現在、公表されている情報だけでも、さまざまな活用方法があります。今後の情報公開により、さらに用途が増えていくでしょう。