Difyは、AIアプリを簡単に作れるノーコード開発ツールです。
実は「音声データの文字起こし」や「テキストを音声に変換する音声出力」など、さまざまな用途で活用できます。
本記事では、Difyの音声ファイル処理の活用例や文字起こしツールの作成方法を解説します。
また、実際に作って分かった躓きやすいポイントやコスパ良く使う方法もお伝えします。Difyを活用して、手作業の負担を減らしたい方は必見です。
Difyとは?音声ファイル処理の可能性を広げられるツール
Difyは、AIアプリをノーコードで開発できるツールです。
プログラミング知識なしでも、チャットボットや自動化ツールといったAIアプリを簡単に作成できます。
実際にAIアプリを作成し、カスタマーサポートや業務効率化に活用している企業もいらっしゃいます。

Difyで作成できる主なツール例は以下の通りです。
- チャットボット
- コンテンツ生成ツール
- データ分析ツール
- ナレッジベースアプリ
- 画像生成ツール
- 言語翻訳ツール
- 文字起こしツール
- 読み上げツール



Difyは音声ファイルの処理(文字起こし・音声出力・音声認識)にも対応しており、音声ファイルを活用したAIアプリの開発も可能です。
Difyで「音声ファイルの処理」をすれば何ができる?
DifyのAIアプリは、さまざまな「音声ファイルの処理」に対応しています。
時間のかかる音声ファイルの処理も、Difyを活用すれば簡単に自動化でき、業務効率を向上させることが可能です。



音声ファイル処理を利用して、出来ることを詳しく解説していきます。
- 音声入力|文字起こしツールの作成
- 音声出力|台本やナレーションの読み上げ
- 音声認識|特定のキーワードや情報の抽出
- 音声分析|データ処理や統計分析
1.音声入力|文字起こしツールの作成
Difyを活用すれば、音声ファイルを自動でテキスト化する文字起こしツールを作ることができます。



録音データをアップロードして、すぐに正確な文字起こしが完了します。
また、複数人の発言を区別して、話者別にテキストを分けることも可能です。
録音データを何度も聞き返す必要がなくなり、他の業務に集中できますね。



最近のAIは文脈を理解し、専門用語や略語の正確な変換が可能なので、文字起こしされたテキストの修正にも時間はほとんどかかりません。
2.音声出力|台本やナレーションの読み上げ
DifyのText-to-Speech(TTS)機能を活用すれば、文章をAI音声に変換し、自然なナレーションを作成できます。



従来はプロに依頼したり、自分で録音したりと手間がかかりましたが、TTS機能を使えばテキストを入力するだけで、簡単に音声が生成可能です。
例えば、YouTube動画のナレーションを作る場合、台本から音声を生成し、声のトーンやスピードも調整できるため、効率よく制作できます。



AI音声だと、テキストを編集するだけで、ナレーションの修正や追加が可能です。その分、収録の手間が省け、編集時間が増えるので動画クオリティも上がりますね。
3.音声認識|特定のキーワードや情報の抽出
Difyを活用すれば、音声データから特定のキーワードを抽出し、重要な発言や情報の分析が可能です。
例えば、カスタマーサポートの通話データを分析し、頻出するフレーズをリストアップすることで、顧客のニーズやよくあるキーワードを自動で抽出できます。



収集したニーズやキーワードを使えば、効率良く、サポート業務の改善が可能です。
4.音声分析|データ処理や統計分析
Difyの音声分析機能を使えば、市場調査の負担を軽減し、精度の高いデータ分析ができます。
ユーザーインタビューといった音声データから、キーワードを分析できるため、手作業での集計や分析の手間が少なくなります。
また、CSVやデータベースと統合し、過去の調査データと比較しながら、消費者の行動パターンの変化を分析できます。



初めにAIアプリを使って分析し、分析されたデータをもとに手動で深く分析すれば効率的ですね。データに紐づいた結論を出せるのもメリットといえます。
簡単4ステップ!Difyで文字起こしツールを作る方法
では、実際に文字起こしツールを作る方法をお伝えしていきます。
今回はXServer VPS上のDifyを利用します。



XServer VPSなら、導入方法が簡単かつコストを抑えて利用可能です。
1.Difyの導入準備





個人情報を入力し、電話番号認証をして、プラン選択まで進みます。






2.ドメインの取得
ここからはエックスサーバーでのドメイン(○○.jpや○○.com)取得方法をお伝えしていきます。



すでにドメインを持っている方は飛ばしてOKです。






住所の英語表記がわからない方は「住所 英語」で検索してください。
英語の住所に変換できるサイトがいくつか出てきます。


3.Difyを使うためのサーバー事前設定












- login:root
- パスワード:VPSを契約した時のパスワード
筆者も長時間悩みましたが、パスワードを打ち込むと文字列が出ないですが、実際は入力できています。
見えないですが、入力してエンターキーを押しましょう。





コマンドは「bash setup.sh ○○.com ○○@○○」になります。ドメインの両端に半角スペースが必要なので注意です。


ニュースの受け取り確認がでたら、必要であればY、不要ならNを押してください。
その後、自動で進み、以下の画面が出ればセットアップは完了です。





導入準備をより詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。


4.文字起こしツールの作成
ここからはいよいよ文字起こしツールを作成していきます。







ここでコピーしたAPIキーは後ほど使います。
「https://<指定したドメイン>」をURL欄に打ち込み、Difyにアクセスしましょう。


右上の「設定」>「モデルプロバイダ」に入り、「Gemini」をクリックします。









AIアプリの名前は、自由につけて問題ありません。


- フィールドタイプ→単一ファイル
- 変数名→audio
- ラベル名→なんでもOK
- ファイルタイプ→音声
- アップロードされたファイルのタイプ→両方


LLMで使用するモデル、コンテキスト、プロンプトを設定します。
- モデル→Gemini
- コンテキスト→audio
- プロンプト→受け取った内容を文字起こししてください。会話に合わせて句読点や段落を入力してください。文字起こしの内容のみ出力してください。(/を入力すると、コンテキストと記載された紫のアイコンが出るので選択)
- ビジョン→audio








Difyの音声ファイル処理でよくあるエラーと解決方法
文字起こしツールを実際に作ってみて躓いたポイントをお伝えしていきます。
「どうしてこの挙動になるのかわからない」
「エラーの原因がわからない」



初めて作る方は特に上記のような問題が多いので、参考にしてください。
1.AIの回答が思い通りにならない
AIが出してほしい回答から大きくずれている場合は、LLMのシステムプロンプトを見直しましょう。



細かく指示を与えてあげないと、思い通りの回答を得られません。
以下は童話「桃太郎」の音声ファイル文字起こしのプロンプトと回答です。
受け取った内容を文字起こししてください。鍵括弧と句読点、段落分けしてください。
「文字起こしのテスト中です。」
「昔々あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしておりました。」
「ある日のこと。」
「わしは山へしばかりに行ってくるぞ、とおじいさん。」
「私は川へ洗濯に行ってきます、とおばあさん。」
「2人は出かけて行きました。」
「おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。」
「まあ、大きな桃だこと。おじいさんに持って帰って食べさせてあげましょう。」
「おばあさんは喜んで、桃を拾って帰りました。」



このように、始まりから終わりまで鍵括弧が入っています。次にプロンプトを修正した場合を見てみましょう。
受け取った内容を文字起こししてください。話し言葉の部分だけ鍵括弧を入れてください。句読点と適切に段落分けしてください。
文字起こしのテスト中です。
昔々あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしておりました。
ある日のこと、「わしは山へしばかりに行ってくるぞ。」とおじいさん。
「私は川へ洗濯に行ってきます。」とおばあさん。
2人は出かけて行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。
「まあ、大きな桃だこと。おじいさんに持って帰って食べさせてあげましょう。」
おばあさんは喜んで桃を拾って帰りました。



上記のように、プロンプトを充実させることでAIの回答精度が向上します。回答内容が想像通りになってない時はプロンプトを見直しましょう。
2.AIのワークフロー処理でエラーがでてしまう


プレビューで動作確認をした際に、上記のようなエラーが出てしまうことがあります。



文言を翻訳しても、具体的にどこを直せばいいかわからないですよね…
こういった時は、LLMのモデルを別のものに変更してください。
今回は以下のように変更することで、エラーが消えました。
Gemini 2.0 Flash Exp → Gemini 2.0 Flash Thinking Exp 1219



下位モデルを選ぶことで、ほとんど改善します。
3.コンテンツ引数が空になっているとエラーが出てしまう





上記のような場合は、システムプロンプトにコンテキスト変数が入っていない可能性が高いです。
LLMノードを開いて、コンテキストに以下の文言が出ていないか確認しましょう。
「コンテキスト機能を有効にするには、PROMPTにコンテキスト変数を記入してください。」
出ている時は、プロンプトに「/」を入力し、下記の「コンテキスト」を選んでください。


正確な音声入力・音声出力をするためのポイント
精度の高いAIアプリにするためには、重要なポイントが2つあります。
- LLMで、処理能力が高い上位モデルを選択する→アウトプットの完成度が向上
- 具体的なシステムプロンプトを入力する→要求している回答の精度が向上
上位モデルを選択し、プロンプトを具体的にするほど、適切な漢字や改行、正確な話者判別など完璧に近い文字起こしが可能です。



プロンプトを考えるのが難しい方はプロンプトジェネレーターを使いましょう。少しの文章で具体的なプロンプトが出せます。以下の◇マークを押してください。







「受け取った内容を文字起こししてください」と入力するだけで、プロンプトが生成されます。正確な音声入力・音声出力をするためにプロンプトジェネレーターを活用しましょう。
Difyをコスパよく活用するなら「XServer VPS」がおすすめ
Difyにはいくつか利用方法がありますが、よく使われるのは「公式サイト」と「XServer VPS」です。
- 公式サイト → 導入は簡単だが、ランニングコストが高い
- XServer VPS → サーバー契約が必要だが、導入が簡単で公式サイトよりも料金が安い
どれぐらい安いのか実際に比較してみましょう。
公式サービスの有料プランと、XServer VPSは個人で使うには十分な4GBプランです。
サービス名 | プラン名 | 月額料金 |
---|---|---|
XServer VPS | 4GBプラン | 1,800円/年 2,200円/月 |
Dify公式サービス | PROFESSIONAL | $49(7,696円)/年 $59(9,266円)/月 |



XServerは公式サービスよりも料金が約1/4に抑えられており、非常にお得です!
XServer VPSは料金以外にもメリットがあるので、いくつかご紹介していきます。
1.アプリイメージ機能でDify導入が簡単
XServer VPSには「必要なアプリケーションがインストールされたイメージファイル」が存在します。
このアプリイメージ機能を使うことで、複雑な設定は必要なくなり、サーバーにDifyを数分で構築できます。



サーバーの設定や環境構築の手間が省けるので、初心者にはXServer VPSがおすすめです。
また、問い合わせサポートや手順書が充実しているので、設定で詰まることはほぼありません。
2.独自ドメインで構築可能
XServer VPSを利用すれば、DifyのAIアプリを独自ドメインで運用できます。



独自ドメインを使用することで、顧客向けのチャットボットやAIサービスを公式サイトにも導入しやすくなります。
また、XServerの容量を自由に変更できるので、社内サービスの利用頻度に合わせた運用が可能です。
3.トラブル発生時の安心感と強固なセキュリティ
XServer VPSは、国内データセンターを採用し、高い稼働率を誇る信頼性の高いサーバーです。
24時間365日の日本語サポートが提供されており、技術的なトラブルが発生した際も迅速に対応してくれます。
また、ファイアウォールやIDSなどのセキュリティ機能も充実しており、定期的に脆弱性診断も実施しています。



Difyの導入の際、サポートセンターを実際に利用しましたが、原因がすぐに判明して導入は無事に完了しました。
安定したDify運用を目指すならなら、XServer VPSは十分に選択肢に入ります。
まとめ
Difyは、AIアプリを簡単に作れるノーコード開発ツールですが、音声ファイルに関連したAIアプリの作成も可能です。
- 音声入力|文字起こしツールの作成
- 音声出力|台本やナレーションの読み上げ
- 音声認識|特定のキーワードや情報の抽出
- 音声分析|データ処理や統計分析
文字起こしツールやテキストの読み上げはもちろん、特定の情報を抽出して分析することもできます。



機能を複合したAIアプリを作れるのもDifyのメリットですね。
XServer VPSを使えば、低コストで導入できるので、初心者の方もDifyは気軽に使えます。
音声ファイルの処理でお困りの方は是非、Difyも検討してください!