近年、生成AIがもたらすイノベーションは文章や画像の世界にとどまらず、ついに“動画”の領域へと広がっています。
そんな中、大きな注目を集めているのがOpenAIが開発したテキストから映像を作る最新モデル「Sora」です。
数行の文章入力だけで短い動画を自動生成したり、画像素材からアニメーションを起こすなど、これまでの映像制作の常識を大きく変える可能性があります。
本記事では、Soraの特徴や料金プラン、使い方、さらにはおすすめの活用事例をご紹介します。
OpenAIの動画生成AI「Sora」とは?
「Sora」とは、OpenAI社が開発した最新の動画生成AIです。
モデル名は日本語の「空(そら)」に由来し、その果てしない創造力や自由度を象徴しています。
OpenAI社によると、“Soraは複数のキャラクター、特定の種類のモーション、被写体と背景の正確な詳細を含む複雑なシーンを生成できる”と述べられており、現実と見分けがつかないほどの動画を生成してくれます。
上記から、アーティストや映像クリエイターのみならず、広告・マーケティングやゲーム業界など幅広いユーザーから注目されています。

要するに「動画生成AIの枠に収まらない存在」ということです。とてもスケールが大きいですね!
Soraの3つの特長
まずは、実際にSoraが作成した動画を見てみましょう。
いかがでしょうか。実際に撮影した映像と見間違えるほどの圧倒的なクオリティです。
こちらの動画を参考に、Soraの3つの特長について解説します。
1.最長1分の動画を生成できる
多くのAI動画生成モデルは数秒程度の超短尺クリップに限られますが、SoraはProプランで最大1080p・20秒の動画生成に対応しています。
研究段階では最長1分間を生成できるモデルも存在するほど拡張性があり、他の競合技術と比較して「長めの動画を一度に作れる」という点が強みです。



シーンの連続性が必要な映像表現やストーリー性のある動画広告において、大きなアドバンテージとなっているね。
2.動画のクオリティが高い
続いて、先ほど示した動画のワンシーンを見てみましょう。


女性の肌の質感が、とてもリアルに表現されているのがわかるかと思います。
Soraの魅力は“生成”だけでなく、“編集”もカバーする点にあります。
従来は映像編集ソフトを使いこなす必要がありましたが、Soraならテキスト入力や簡単なUI操作で多彩な映像編集を実現できます。
3.プロンプトに忠実
先ほどの動画は以下のプロンプトによって作成されました。
Prompt: A stylish woman walks down a Tokyo street filled with warm glowing neon and animated city signage. She wears a black leather jacket, a long red dress, and black boots, and carries a black purse. She wears sunglasses and red lipstick. She walks confidently and casually. The street is damp and reflective, creating a mirror effect of the colorful lights. Many pedestrians walk about.
日本語にすると以下の内容です。
プロンプト: スタイリッシュな女性が、暖かく輝くネオンとアニメーションの街の看板で満たされた東京の通りを歩いています。 彼女は黒い革のジャケット、赤い長いドレス、黒いブーツを着ており、黒いバッグを持っています。 彼女はサングラスと赤い口紅をつけています。 彼女は自信を持って何気なく歩いています。 通りは湿っていて反射しており、色とりどりの光の鏡効果を生み出しています。 多くの歩行者が歩き回っています。



特に、女性の服装や持ち物などの細かな描写も間違えることなく反映できている点は驚きです。
Soraは、テキスト入力の際にChatGPTの言語処理を活用するため、短い指示でも内部的に詳細なプロンプトへと補完されやすいのです。
上記からも、プロンプトに忠実な動画が生成されていることがわかるかと思います。
Soraはいつから日本で使える?
Soraの開発自体は2024年初頭から注目されていましたが、一般ユーザー向けに正式リリースされたのは2024年12月です。
2025年3月時点で、ChatGPT PlusまたはProプランに加入していれば、日本でもSoraを使うことができます。
Soraは無料で使える?料金について
OpenAIはChatGPT Plus/Proの加入者向けに、追加料金なしで一定枠の動画生成を利用できる仕組みを導入しました。
- Plusプラン(月額20ドル)
- 1か月あたり最大50本(5秒)の動画を生成可能
- Proプラン(月額200ドル)
- 1か月あたり最大500本(最大20秒)の動画生成が可能
Plusプランでは、月に50本の動画生成が可能ですが、透かし入りダウンロード等の一部制限があります。
一方で、ProプランはPlusプランよりも生成可能本数が多く、ダウンロードに透かしが入らないようになっています。
Soraの使い方
Soraの使い方は非常に簡単で、直感的に動画生成することが可能です。


生成したい動画のイメージを、簡単な文章で入力していきます。



たとえば「近未来の街並みを背景に、サイボーグの女性が歩くシーン」といった感じです。
必要に応じて背景素材や静止画をアップロードすれば、それをベースにアニメーション化することも可能です。


横長(16:9)・縦長(9:16)・正方形(1:1)など、用途に応じたアスペクト比や動画の長さを指定します。
さらにツールバーから「Remix(要素を追加・変更)」「Storyboard(分割した部分を細かに編集)」「Loop(特定部分を繰り返して再生)」などの編集モードを選んで、生成後に微調整することも可能です。
「生成ボタン」を押すと、Soraがテキストや素材を解析して動画を出力します。
数十秒~数分程度でプレビューが表示されるため、イメージと合っていない部分があれば追加の指示を入力してリテイク(再生成)を行います。
動画が完成したらダウンロードしましょう。
社内プレゼンに使ったり、SNSにアップロードしたり、社外のクライアントに提案したりと、さまざまな場面で活用可能です。
以下に、Soraを活用した動画の作り方について、代表的な3つのパターンを解説します。
Text-To-Video(テキストから動画を作成)
プロンプトから動画を作成する方法であり、簡単かつ一般的な手法です。
たとえば、以下のようにプロンプトを入力して動画を生成します。
Prompt: Reflections in the window of a train traveling through the Tokyo suburbs.
(東京郊外を走る電車の窓に映る反射。)
AIによって生成された架空の動画ですが、実際に撮影した映像にしか見えないクオリティです。
Image-to-Video(画像から動画を作成)
画像から動画を作成する方法です。
画像を準備する手間はかかりますが、プロンプトを考えるのが面倒な場合におすすめです。
以下は、画像(DALL・Eにて作成)から動画を生成したものです。
映画のワンシーンのような壮大な動画が生成されています。



最後のシーンで、波が無くなった後にサーファーがひょっこり出てくるのは改善の余地がありそうですね。
Video-to-Video(動画から動画を作成)
動画から動画を作成する手法です。
たとえば、「元動画の最後のシーンを取り出した後、時間を逆行させて動画作成する」ことで「異なる始まりから同じ結末の動画」を作成することができます。
どちらも最終的には同じシーンになっていますね。従来の動画生成AIには無かった興味深い機能となっています。
Soraのおすすめの活用事例3選
それでは、Soraを活用して何が出来るのでしょうか?考えられる活用事例をいくつか紹介します。
1.アニメーションの作成
Soraを使うと、オリジナルキャラクターのアニメーション動画作成が可能になります。
絵が描けない方でも、テキストプロンプトからオリジナルキャラクターを生成し、アニメーション動画が作成できます。
2.広告やプロモーション動画
Soraを使うと、広告やプロモーションの動画作成が可能になります。
画像を元に動画を生成できるので、商品やサービス、会社のロゴなどを取り入れた動画生成が可能となります。
これにより、広告に費やしてきた時間やコストの大幅カットができるようになります。
3.クリエイティブ動画の作成
Soraを使うと、クリエイティブ動画の作成が可能になります。
実は、前述したVideo-to-Videの機能の一つで、「異なる2つの動画を用意し、それらの間を繋ぐように補完した動画」を生成することもできます。
具体的な以下の例を見てみましょう。(左右の動画を繋ぐように補完したのが、中央の動画です。)
左はカメレオン、右は鳥の動画ですが、中央はカメレオンが鳥へ段々変化していく動画となっています。
現実的には有り得ない動画ですが、リアルなので思わず目を疑ってしまいます。
このような驚きのある動画を作成することで、YouTubeやTikTokなどのSNS上で“バズ”を狙うことができます。
まとめ
今、生成AI技術の中でもっとも注目度が高い領域の一つが「動画生成AI」です。
その最前線に立つOpenAIのSoraは、高い解像度や長尺対応、編集ツールの一体化、ChatGPTとの連携といった総合力を強みに、既に多くの企業やクリエイターから期待を集めています。
一方でフェイク動画や著作権問題など、社会的課題も浮上しており、OpenAIが取り組む安全策やポリシー整備にも今後注目が集まるでしょう。
もし興味がある方は、ChatGPT PlusやProプランを検討しつつ、まずは試験的に短い動画を生成してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

