OpenAIが提供するChatGPTの「Deep Research」機能に軽量版が導入され、無料ユーザーも月に5回まで利用できるようになりました。

これまで有料プラン(月額20ドル以上)でしか使えなかった革新的なリサーチ機能を、誰もが体験できるようになったのです!
本記事では、無料版Deep Researchの特徴から使い方、有料版との違い、そして月5回の制限を最大限に活用するコツまで、詳しく解説します。
Deep Researchとは?


Deep Researchとは、高度な情報収集・調査支援機能で、人間では数時間かかるリサーチを、Deep Researchはわずか数分で完了できます。
これまでのChatGPTは、学習したデータに基づいてキーワードに最適な回答をしていました。しかし、Deep Researchを使えば、学習したデータではなく、リアルタイムで情報収集・分析をします。
収集された情報は分かりやすくまとめられ、出典が明記されるため、情報の出所を調べるのが簡単です。



また、画像やPDFの解析、ユーザーがアップロードしたファイルをもとにした情報収集など、多くの便利な機能が搭載されています。
Deep Researchは日常の調べ物から、医学・金融などの専門分野まで、幅広いニーズにこたえられる機能といえるでしょう。
なお、OpenAIが提供するChatGPTの「Deep Research」は現在無料でも使用することができます。
ChatGPT「Deep Research」は無料で使える?
高度な性能を持つChatGPTのDeep Researchは、これまで有料プランでしか利用できませんでしたが、2025年4月から制限付きながら、「軽量版」が無料プランのユーザーにも提供開始されました。
無料版で利用できるDeep Researchは、「o4-mini」モデルをベースとした軽量版です。
フル機能版との主な違いは以下のとおりです。
項目 | 軽量版(無料) | フル機能版(Plus) | フル機能版(Pro) |
---|---|---|---|
ベースモデル | o4-mini | o3 | o3 |
月間利用回数 | 5回 | 25回(標準10回+軽量15回) | 250回(標準125回+軽量125回) |
処理時間 | 3〜15分 | 5〜30分 | 5〜30分 |
レポート長 | 要点を絞った簡潔版 | 包括的で詳細 | 包括的で詳細 |
情報源の数 | 数十件程度 | 数百件 | 数百件 |
引用の詳細度 | 基本的な引用 | 詳細な引用と検証 | 詳細な引用と検証 |
軽量版の最大の魅力は スピードと効率 にあり、フル機能版に比べて処理が高速で、結果を短時間で得られるのが大きなメリットです。
さらに、出力されるレポートは冗長さを抑えて要点を絞り込んでいるため、情報をすばやく把握したい場面に適しています。



基本的なリサーチ機能はしっかり網羅されているため、日常的な調べものや概要把握には十分対応できます。
一方で、フル機能版と比べると 情報の深さ はやや劣るため、詳細な分析や専門性の高いリサーチを行いたい場合には物足りなさを感じるかもしれません。
また、画像やグラフといったビジュアル要素の生成も制限されるため、資料作成にそのまま活用する場合は不便に感じる可能性があります。



軽量版は「スピーディに要点をつかむ」ことに特化したツールです。
深掘り調査や高度なレポート作成よりも、シンプルかつ効率的にリサーチを行いたいユーザーに向いているといえるでしょう。
無料版Deep Researchの回数制限について
無料版Deep Researchには 「月5回まで」 という厳格な利用制限が設けられています。
回数は 初めて利用した日を起点に30日ごとにリセット される仕組みで、月初や暦に依存するのではなく「利用開始日ベース」でのカウントとなります。



注意点として、使い切れなかった回数を翌月に繰り越すことはできません。
また、現時点では追加の回数を購入するオプションも用意されていないため、無料版を使えるのは毎月5回までに限定されます。
そのため、軽量版を使う際は 「本当に必要な場面にだけ利用する」 という計画的な使い方が重要になります。
無料版Deep Researchの機能制限・優先度
無料版のDeep Researchには、月5回という厳格な回数制限に加えて、機能面や利用優先度における制約も存在します。



まず機能面では、フル版と比べて利用できる範囲が狭くなっています。
データをグラフや図表で可視化する「データビジュアライゼーション」は限定的であり、詳細なビジュアル資料を生成する用途には向いていません。
さらに、外部のデータソースと連携する機能は無料版では利用できないため、リサーチはあくまでChatGPT内部で完結する形となります。



次に優先度の点では、サーバーが混雑している場合に有料ユーザーが優先される仕組みになっています。
そのため、無料版ユーザーは処理が遅くなったり、結果を得るまでに待ち時間が発生したりする可能性があります。
このように、無料版は手軽に試せる反面、機能や安定性の面で制限があることを理解しておくことが大切です。
【比較】無料版と有料版のDeep Researchの違い
Deep Researchには、無料版・Plus版(月20ドル)・Pro版(月200ドル)の3プランがあります。
機能 | 無料版(軽量版) | Plus版 | Pro版 |
---|---|---|---|
月額料金 | $0 | $20 | $200 |
Deep Research回数 | 5回(軽量版のみ) | 25回(標準版10回+軽量版15回) | 250回(標準版125回+軽量版125回) |
処理速度 | 標準 | 優先処理 | 最優先処理 |
レポート品質 | 簡潔版 | 詳細版 | 最高品質 |
GPT-4o利用 | 制限あり | 制限緩和 | ほぼ無制限 |
画像生成(DALL-E) | × | ○ | ○ |
ファイル分析 | 制限あり | ○ | ○ |
カスタムGPT作成 | × | ○ | ○ |
無料版(軽量版)は、月5回まで利用可能。要点を簡潔にまとめるレポートが中心。GPT-4oや画像生成などは制限があります。
一方で有料版は、処理も速く、詳細レポートや画像生成・ファイル分析などの機能が使え、さらに優先度も高いです。



簡単に言えば、無料版はお試し向け、Plus版はコスパ重視、Pro版は本格業務用という位置づけです。
無料版「Deep Research」がおすすめな人
一方で、予算に制約がある人 や、調査が個人的な範囲にとどまる場合は無料版で十分対応できます。



利用頻度が月に数回程度で済む人や、まずはDeep Researchの機能を体験してみたい人にとっては、無料版が最も手軽でコスト効率の良い選択となります。
有料版「Deep Research」を選ぶべき人
Deep Researchには無料版のほかに、Plus版(月額20ドル) と Pro版(月額200ドル) が用意されています。
- 月6回以上Deep Researchを使いたい
- より詳細なレポートが必要
- GPT-4oも頻繁に使用する
- 画像生成機能も活用したい
- 業務でDaily使用する
- 大量のリサーチ業務がある
- 最高品質のアウトプットが必要
- 時間=コストの考え方ができる



利用目的や頻度に応じて、自分に合ったプランを選ぶのがポイントです。
こんな場面に役立つ!DeepResearchの活用事例
ChatGPTのDeep Researchは、SNSマーケティングや専門分野の資料作成・市場動向の調査などに活用できます。
ここでは、Deep Researchの具体的な活用方法を解説します。
1.Xの投稿を分析してマーケティングに活用
ChatGPTのDeep Researchは、XなどSNSへの投稿も情報収集の対象となっています。
そのため、バズった投稿の傾向や、反応が多かった理由を分析することも可能です。



Xへの投稿を分析すれば、自社アカウントの運用改善やマーケティング施策に役立つでしょう。
今回は、Deep Researchに以下のように質問してみます。
プロンプト例:
Xへの投稿で、アパレル分野で閲覧数の多い投稿について分析をしてください
より詳しいレポートを作成するために、AIから質問をされたので回答します。



条件を具体的に指定することで、より精度の高いレポートを得ることが可能です。
追加の質問に回答したら、AIがリサーチを開始してレポートを作成してくれました。



レポート作成にかかった時間は5分、情報源は25件、検索数は136件と、通常のChatGPT検索より時間がかかりますが、その分多角的で信頼性の高いレポートが得られます。
作成されたレポート(一部)は、以下の通りです。
レポートには、次のような項目がまとめられています。
- トレンド投稿の具体例
- 主なハッシュタグ、キーワード
- 投稿形式、コンテンツタイプ
- 注目ブランド、アイテム、スタイリング傾向



どの項目も役に立ちますが、特にハッシュタグやキーワードの分析結果は、自社のSNS運用にすぐにでも活用できるでしょう。
ChatGPTのDeep Researchは、SNS投稿の分析にも活用できる強力なツールです。
手間をかけずに競合分析やトレンド把握ができるため、伸びているアカウントの傾向を分析してみましょう。
2.専門分野の資料作成
ChatGPTのDeep Researchは、インターネット上の信頼性の高い情報源(論文、行政資料、専門サイトなど)をもとにリサーチを行うため、専門性の高い資料作成にも非常に有効です。



従来のChatGPTでは、専門分野に関する深い知識やデータを必要とする調査に限界がありましたが、Deep Researchを使えば、医療・金融・食品衛生など難解な領域でも実用レベルの情報が取得可能になります。
今回は、学校給食や病院など大量に食品を作る施設で、肉を加熱する際の「中心温度」についてまとめてもらいました。
プロンプト例:
大規模調理施設での中心温度管理について、方法や具体的な温度についてまとめてください
AIから内容について質問があったので、回答します。



今回は回答の作成に4分かかり、28件の情報源から作成されました。
レポートには、次のような項目がまとめられています。
- 中心温度の測定方法と記録
- 温度測定の頻度・測定箇所
- HACCP、関連マニュアルでの規定



調理手順書や職員教育資料に転用できるレベルの実用的なアウトプットが得られます。
3.市場動向の調査
企業にとって、自分の業界の市場動向を知ることは重要です。市場動向を把握できれば、今後の販売戦略や経営方針などに活用できます。
ChatGPTのDeep Research機能を使えば、信頼できる情報源をもとに、さまざまな業界の最新動向を調査できます。



単に「売れているもの」を挙げるだけでなく、ライバル企業の販売戦略や成功要因の分析まで行ってくれるのが特徴です。
ここでは、自分が中古ゲーム販売業をしていると仮定して、Deep Researchで市場動向を調査します。
プロンプト例:
中古ゲームの販売業をしています。最近の日本の市場動向をまとめてください。また、売上が好調な同業者がおこなっている施策についても調べてください。
AIから質問が返ってきたので回答します。



今回は回答の作成に5分かかり、32件の情報源が調査されました。
レポートには、次のような項目がまとめられています。
- PS5、Switch中古市場の動向
- 消費者の購買意欲と需要変化
- オンライン販売戦略の事例
- 広告、プロモーション戦略の事例



売上が好調な企業の施策を事例付きで紹介してくれる点は、実務にすぐ活かせる内容でした。
ChatGPTのDeep Researchを使えば、市場全体の動きだけでなく、「今、何が売れているか」「どんな企業が伸びているか」「なぜ成功しているのか」まで、短時間で整理されたレポートとして取得可能です。


軽量版DeepResearch活用時の注意点とトラブルシューティング
ChatGPTのDeep Researchは非常に高性能な調査機能ですが、活用時には注意すべき点もあります。



特に軽量版を使用する場合は、情報の正確性を見極める意識が重要です。
1.ハルシネーションの発生
ChatGPTのDeep Researchは詳しく調査してくれますが、ハルシネーションが発生する可能性はあります。
ハルシネーションとは、AIが事実とは異なる回答を生成してしまうことです。あたかも事実のように回答が生成されるため、利用者は回答が正しいと思い込んでしまいます。
特にDeep ResearchのようにAIが深く調査する機能は、回答内容に間違いがないと錯覚してしまいます。
2.通常版とDeep Researchの切り替え
ChatGPTでDeep Researchを利用するには、通常のチャットモードから手動で切り替える操作が必要です。



切り替えができていないと、Deep Researchの機能は動作せず、通常のモデルによる回答になります。
質問をする前にプロンプト欄の下に表示されている「Deep Research」をクリックして、青色になったことを確認してください。
3.利用回数の制限
ChatGPTのDeep Researchには、プランごとに利用回数の上限が設定されています。
フル機能版と軽量版の両方に回数制限があるため、回数を使い切るとその月はDeep Researchを使えなくなります。



重要なレポート作成や提案資料の作成前に、残り回数を確認しましょう。
残りの利用回数は、プロンプト欄の下にある「Deep Research」にマウスカーソルを合わせると表示されます。
4.Deep Researchボタンが表示されない
利用環境によっては、ChatGPTの画面にDeep Researchのボタンが表示されないことがあります。その場合は、以下の方法を順番に試してみましょう。
まず、ブラウザのキャッシュをクリアしてから再度ページを読み込みます。



それでも改善しない場合は、一度ChatGPTからログアウトし、再ログインを行ってください。
環境依存の問題の可能性もあるため、別のブラウザでアクセスしてみるのも有効です。
よくある質問
ここでは、軽量版Deep Researchについて、よくある質問に回答します。
回数制限 月5回のカウント方法は?
リサーチを開始した時点で1回とカウントされます。
エラーで中断した場合も1回消費されるため、安定した環境で実行することをおすすめします。
回数制限に達したら追加購入できる?
現在、無料プランでの追加購入オプションはありません。
追加で利用したい場合は、Plus版(月額$20)へのアップグレードが必要です。
ChatGPTとDeep Researchの使い分け方は?
ChatGPTとDeep Researchは、回答がまったく異なるため、上手に使い分ける必要があります。
大まかな使い分けは、以下のとおりです。
- ChatGPT:一問一答的な短い質問
- Deep Research:幅広く深く情報を集めたい質問
無料プランのまま使い続けるデメリットはある?
無料プランのままDeep Researchを使い続けても、大きなデメリットはありません。



ただ、月に5回までしか利用できないため、すぐに上限に達してしまいます。
毎月6回以上 Deep Research を使いたい、市場調査や競合分析など深いリサーチが必要な仕事がある場合は、有料プランに移行しましょう。
軽量版DeepResearchはスマホからでも使える?
ChatGPTのWebブラウザ版にアクセスすれば、スマホからでも軽量版 Deep Research を含む各機能が使用できます。



スマホを使えば、移動中やカフェでの作業・隙間時間など、さまざまなシーンでDeep Researchを活用できます。
また、パソコンと同じアカウントを利用すれば、スマホで調べた内容がパソコンでも閲覧可能です。
外出先でスマホを利用して調べ物をして、自宅に戻ってからパソコンでじっくりと内容を確認すれば、作業時間の短縮に繋がるでしょう。
処理が異常に遅い時は?
Deep Researchの処理が普段よりも極端に遅いと感じる場合は、サーバーの混雑や入力内容の影響が考えられます。
まずは、ピークタイム(特に日本時間の夜間)を避けて利用することで改善が見込めます。
また、プロンプトが長すぎたり複雑すぎたりすると処理に時間がかかるため、できるだけ簡潔に入力することも有効です。



さらに、反応が止まっているように見える場合は、一度キャンセルして再度実行するとスムーズに進むケースがあります。
このように環境や入力を調整することで、多くの場合は処理速度を改善できます。
まとめ
ChatGPTのDeep Research機能が、ついに無料でも利用できるようになりました。
この機能は、質問に対して複数の信頼性の高いWebサイトなどを調査し、深く・幅広い内容のレポートを自動生成してくれる、非常に優れた情報収集ツールです。
ただし、無料で利用できるのは、軽量版Deep Researchです。
フル機能版と比べると、使用するモデルが異なり、利用回数の制限も厳しくなっている点は理解しておきましょう。
これまでChatGPTを利用して回答が物足りなかった人は、Deep Researchを使えば満足できる回答を得られるはずです。
まずは軽量版で実際の使い心地を試してみて、「もっと深いレポートが欲しい」と感じたら、PlusやProなどの有料プランへのアップグレードを検討すると良いでしょう。