Google Cloud Next 2025において、テキストから音楽を生成するVertex AIのLyriaが発表されました。
そして今回、最新バージョンである「Lyria 2」の一般提供が開始されました。
Googleの最新音楽生成モデルであるLyria 2は、さまざまなスタイルに対応し、音楽を生成できるのが特長です。
クリエイターや音楽業界にとって新たな可能性を切り拓いてくれる存在になりそうです。
本記事ではLyria2の特長や強み、導入するメリットなどをわかりやすくご紹介していきます。
音楽生成モデル「Lyria2」とは?
「Lyria2」とは、Googleの子会社でもあるGoogle DeepMindが開発した最先端の音楽生成AIモデルです。
テキストから高品質な音楽を生成する能力を持ち、ジャンルやスタイルに応じた多様な楽曲制作を得意としています。

これまで楽曲の制作をしたことがなく、楽器を演奏できない方や専門知識がない方にも簡単に音楽制作が可能になりました。
Lyria2は音楽制作のプロセスを革新し、クリエイターが新たなスタイルやアイデアを探求するための強力なツールとなっています。
Lyria2の特長と技術的な強み
Lyria 2は、従来の音楽生成モデルと比較して、より高品質な楽曲制作を実現できる最新のAIモデルです。
最大の特長はテキストから音楽を生成できる点にあり、ジャンルや感情、テンポなどを細かく指定することが可能です。
Lyriaには2つのバージョンがあり、それぞれに明確な特性があります。
Lyria 2
プロフェッショナルな音質(48kHzステレオ)に対応し、幅広いジャンルの音楽制作が可能です。作曲支援にも優れており、多様なスタイルに柔軟に対応できます。
Lyria RealTime
Lyria 2を基盤としたリアルタイム音楽生成モデル。演奏中にスタイルやテンポを即座に調整できるなど、インタラクティブな表現が可能です。
さらに、生成された音楽にはGoogleの「SynthID」技術による電子透かしが自動で埋め込まれており、AIによって作成されたコンテンツであることが識別できる仕組みになっています。これにより、著作権や透明性への配慮もされています。



これにより、著作権や透明性への配慮もされています。
Lyria2の代表的な機能
Lyria2は、音楽生成AIとして、クリエイターの創作活動を支援する多彩な機能を備えています。
特に注目すべき点は、音楽性性の柔軟性と、リアルタイムでの操作性の高さです。
以下は、Lyria 2の代表的な機能です。
- テキストから音楽を生成:ジャンルや雰囲気、感情などを指定することで、完全な楽曲を生成
- リアルタイム生成(Lyria RealTime):テンポやキー、スタイルをその場で調整しながら、即時に音楽を演奏・変化させることが可能
- 高音質の出力:48kHzステレオのスタジオ品質音源を生成でき、商用や制作現場にも対応できるクオリティを実現
- マルチモーダル連携:歌詞や映像など他のコンテンツと組み合わせた作品制作を支援する
- SynthIDによる透かし機能:生成された音楽に電子透かしを埋め込み、AIによる生成物であることを明示できる仕組みを搭載



Lyria2は、プロフェッショナルから初心者まで、あらゆるユーザーにとって革新的な音楽制作ツールとなっています。
Lyria2は他のAI音楽生成ツールとどう違う?
Lyria2は、他の音楽生成AIツールと比較して、音楽的構造の理解力とリアルタイムでの操作性において、際立った性能を備えています。
特に、コード進行や楽曲構成の一貫性に優れており、複雑なアレンジやジャンル指定にも高精度で対応できる点が特長です。



これにより、より自然で完成度の高いサウンドを生成できるのが魅力です。
また、Lyria RealTimeは感情表現やスタイル変更をリアルタイムで操作できるため、即興演奏のような柔軟な対応ができる点でも注目されています。
さらに、Lyria 2は、Googleの他の生成ツール群とも連携できるため、制作ワークフローの一部として統合しやすいという点でも、他のサービスとは一線を画しています。
たとえば、SunoやUdio(旧Undi)が音声やボーカル重視の出力を得意としているのに対し、Lyria 2は音楽そのものの構造や流れを深く理解し、より精緻で完成度の高い楽曲制作を実現します。



このように、Lyria 2はプロフェッショナルな制作現場でも十分に活用できる高い実用性を備えており、音楽AIツールの中でも特に汎用性の高いモデルといえるでしょう。
Lyria2の使い方
この項目では、Lyria2の使い方について解説していきます。
Googleアカウントを持っている場合にはログインを。
持っていない場合には新規作成をして、まずはGoogleにアカウントを作成しましょう。


左のメニューバーからパズル形のアイコン「Build」を選択。
「Build apps with Gemini」をクリックし、画面内に表示される赤枠の「Lyria」セクションを選び、Lyriaを起動します。
Lyria2を実際に使ってみた


今回は「都会的で機会的な音楽を作って」というプロンプトを入力し、1曲制作してもらいました。



実際に使ってみた感想としては、初心者でもかなり簡単に楽曲制作が行えるという点です。
一方で、楽曲が完成するまでにやや時間がかかり、待ち時間が長く感じられる場面もありました。
専門的な音楽知識がなくても楽曲制作は可能ですが、操作の自由度や応用性を高めるには、プログラミングの知識があるとより便利かもしれません。
完成した楽曲については、テキストを入力しただけとは思えないほど高音質かつ高品質で、全体として非常に満足度の高い仕上がりでした。



プロンプトの意図もしっかりと反映されており、AIによる音楽生成の精度の高さを実感できました。
Lyria2を導入する5つのメリット
Lyria 2を導入することで得られる主な5つのメリットについてご紹介します。
1.高品質かつ一貫性のある音楽生成が可能
Lyria 2は、従来のAIよりも高度な音楽的理解力を備えており、特にメロディーやコード進行、楽曲構造の一貫性に優れています。
そのため、断片的で単調になりがちだった従来のAI音楽とは異なり、自然で流れのあるサウンドを生成できるのが大きな魅力です。



ジャンルや雰囲気なども柔軟に指定でき、商用レベルのクオリティが求められる制作現場でも十分に活用できます。
2.創作のハードルを下げ、多様な表現をサポート
初心者の方でも直感的に操作できるインターフェースを備えており、音楽知識がなくても簡単に作曲を楽しめます。
テキストベースのプロンプト入力により、自分のイメージに合ったオリジナル楽曲を作ることが可能です。



また、自身の動画作品やクリエイティブプロジェクトに楽曲を付けたい場合にも、著作権の心配がない点は大きな安心材料です。
3.制作時間を大幅に短縮できる
Lyria2を活用することで、従来の作曲や音楽制作にかかっていた時間を大幅に短縮できます。



通常、作曲・編曲・演奏・録音など複数の工程を経る音楽制作には、数時間から数日を要するのが一般的でした。
しかし、Lyria2では、ジャンルやスタイルを指定したテキストプロンプトを入力するだけで、数分以内に楽曲を生成できます。
特にリアルタイム性に優れた「Lyria RealTime」を使えば、その場でテンポや雰囲気を調整しながら即興的な音楽制作ができるため、スピーディーな制作が求められる現場でも活用しやすいのが特長です。
4.多言語対応でグローバル展開にも最適
Lyria2は多言語に対応しており、英語はもちろん、日本語やスペイン語などさまざまな言語での音楽生成が可能です。



これは、Googleの大規模言語モデル(LLM)との連携によって実現されており、言語ごとのニュアンスを理解したうえで、自然な発音やリズムを取り入れた音楽を生成できる点が強みです。
そのため、グローバルなクリエイターや企業が自国語で楽曲制作を行えるほか、ローカライズされたコンテンツの制作にも大きな利点があります。
今後、さらに対応言語の拡充が期待されています。
5.コスト削減につながる効率的な制作環境
Lyria2の導入により、音楽制作にかかるコストを大幅に削減できます。
従来は、作曲家、編曲家、スタジオミュージシャン、音響エンジニアなど複数の人材と設備を必要としていましたが、Lyria2を使えば少人数、あるいは単独でも高品質な音源制作が可能です。



特に、デモ曲の制作段階では外部委託が不要となり、制作費の抑制に直結します。
また、商用利用可能なAI音源を活用することで、著作権料やライセンス費用の削減にもつながります。
初期投資を抑えたい個人クリエイターや中小規模の制作現場にとって、Lyriaは非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
Lyria2に関するよくある質問
Lyria 2について、まだ疑問や不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
利用に必要な条件は?
Lyria 2は現在、Google DeepMindが提携する一部のパートナーや開発者、クリエイター限定で提供されています。
2025年のGoogle I/Oでは、YouTube Shortsでの音楽制作機能の一部としてLyria 2が試験的に統合され、Vertex AIやMusic AI Sandboxなどのプラットフォームを通じて利用可能です。
利用にはGoogleアカウントが必要で、対象プラットフォームでのログインが求められます。



一般ユーザーが直接Lyria 2を利用できるかどうかは今後の展開次第ですが、段階的に利用の幅が広がっています。
商用利用はできる?著作権の扱いは?
Lyria2の商用利用と著作権に関する取り扱いについては、2025年6月時点で明確なガイドラインが公表されていません。
商用利用を検討する場合は、今後のGoogle公式発表や各プラットフォーム(例:Vertex AI、Music AI Sandboxなど)の利用規約を必ず確認することが重要です。
著作権や利用条件は今後変更される可能性があるため、常に最新情報を確認しましょう。
どんなジャンルの音楽が作れる?
Lyriaは、Google DeepMindが開発した音楽生成AIで、幅広いジャンルの音楽制作に対応しています。
クラシック、ジャズ、ポップ、エレクトロニック、アンビエント、ロック、ファンク、ポストパンクなど
さらに、Lyria RealTimeを使用することで、リアルタイムでジャンルやスタイルをミックスしながら音楽を制作することもできます 。



ユーザーは自分の好みに合わせた独自の音楽を創作することが可能となり、創造性を大いに発揮できます。
まとめ
最新バージョンである「Lyria 2」は、AIによる音楽生成の可能性を大きく広げる革新的なモデルです。
ジャンルやテンポ、楽器などを細かく指定でき、高品質な音源を短時間で生成できることが特長です。
さらに、リアルタイムでの操作が可能な「Lyria RealTime」は、即興演奏やライブ演出などにも活用でき、表現の幅を広げています。
現在は一部の開発者やクリエイター向けに提供されていますが、今後の一般公開や商用利用の拡大が期待されています。
AIと音楽が融合する未来に向けて、Lyria2はその中心的存在となるでしょう。