動画やゲーム・ビジネスでのプレゼンテーション制作などで、音声生成AIが活躍しています。
しかし、「音声生成AIは、まだまだ不自然で違和感がある」と感じて利用していない人も少なくないでしょう。
この記事では、自然な音声生成ができると話題の「ElevenLabs v3(alpha)」について、進化したポイントや、実際の使い方を分かりやすく解説します。
あなたのビジネスに音声生成AIを取り入れられるか判断できるので、ぜひ最後までご覧ください。
ElevenLabsとは?

ElevenLabs(イレブンラボ)とは、ディープラーニングを活用した、音声生成AIです。
AI技術を駆使した音声合成ソフトウェアは、自然な音声生成能力と、カスタマイズ性の豊富さが高い評価を得ています。
テキストを入力するだけで高品質な音声データを生成できるため、以下のような幅広いシーンで使われています。
- ビジネスのプレゼンテーション
- ビデオ会議
- 話し方スクールでのアクセント練習
- 動画やラジオ配信などのコンテンツ制作
- 英語のリスニング教材
ElevenLabsはリリースから数年で、AI音声ツールの代表的な存在になりました。
市場のニーズとリアルな音声生成の提供が一致したことが大きな要因です。

ElevenLabsの技術力により、さらに表現力が豊かな音声に進化して、AI音声ツール界をけん引していくでしょう。
2025年6月「ElevenLabs v3 (alpha)」がリリース
2025年6月に、さらに進化した新バージョン「ElevenLabs v3(alpha)」が研究プレビューとしてリリースされました。
ElevenLabs v3(alpha)が開発された背景には、利用者からより高い「表現力」を求める声が上がったためです。
これまでのバージョンも、さまざまなプロフェッショナルな現場で活用されてきました。
しかし、会話に自然に入り込むリアルさや、信ぴょう性のあるやり取り、感情を誇張して伝える力などには、まだ課題が残っていたのが実情です。



そこでElevenLabsは、より豊かな表現力を実現するため、v3(alpha)をゼロから再構築。
ElevenLabs v3の進化ポイント
ElevenLabs v3では、感情表現や非言語的なニュアンスのリアルさが大きく向上し、さらに多くの便利機能も進化を遂げています。
ここでは、これまでのバージョンと比較しながら、v3でどのような点が進化したのかをわかりやすく解説していきます。
感情・非言語表現のリアルな再現
ElevenLabs v3では、従来の課題だった感情表現が大きく進化しています。
ElevenLabs v3では、イントネーションや抑揚をAIが自動で制御できるようになり、テキストに込められた感情や意図を正確に読み取って、それにふさわしいトーンや表現で音声化してくれます。



実際にテキストを読み上げさせてみると、自然なイントネーションと滑らかな話し方に驚くはず。
速度の緩急や微妙な間の取り方も人間らしく、AIだと感じさせないほどのリアリティを実現しています。
ダイアログ(会話)モードの実装
ElevenLabs v3のもう一つの大きな進化は、複数話者での自然な会話を生成する「ダイアログモード」の実装です。
ダイアログモードでは、AIが自動的に以下のような要素を含んだ会話を生成します。
- 話者間で文脈や感情の共有
- 自然なペースの会話
- 割り込み
- 感情の切り替わり
従来の音声生成AIは、それぞれの話者の音声を個別に生成してから、ユーザーが自らオーディオ編集ソフトで結合する必要がありました。
ダイアログモードでは、それぞれの話者の音声生成から、音声の結合まですべてAIがおこないます。



オーディオドラマやポッドキャスト、ゲームにおけるキャラクター間の会話など、複数人の音声が絡む制作作業の効率が大幅にアップします。
オーディオタグによる細やかな制御
ElevenLabs v3(alpha)では、「オーディオタグ」を使って、音声に感情や非言語的な表現を加えることが可能になりました。
オーディオタグとは、プロンプト内に挿入することで、生成される音声に特定の感情や表現を指示できるテキストタグのことです。
たとえば、以下のようなタグがあります。
- ささやき:[whispers]
- ため息:[sighs]
- 笑い:[laughs]
- 興奮:[excited]
これらのタグにより、単にテキストを読み上げるだけでなく、感情や非言語的な表現が簡単にできるようになりました。
ただし、感情を手軽に加えられる反面、意図しないタグの使い方や不自然な組み合わせをしてしまうと、音声が浮いて聞こえ、視聴者に違和感を与える可能性もあります。
そのため、ユーザーには“声優への演技指導”のようなプロンプト設計力=プロンプトエンジニアリングのスキルが求められます。



正確な意図を伝えるためには、タグの位置や感情の切り替わりタイミングを丁寧に設計することが重要です。
70以上の言語に対応
ElevenLabs v3(alpha)の対応言語は、これまでの29言語から70言語以上に大幅に増えました。
以下のような主要な言語で、表現力豊かなAI音声の生成が可能です。
- 英語
- 日本語
- 中国語
- ポルトガル語
- ドイツ語
- ヒンディー語 など
これまでAI音声技術は、英語での開発がメインでした。
テキスト理解力の向上
ElevenLabs v3(alpha)では、AIのテキスト理解力が大きく向上しています。
これにより、文章の意味や文脈を読み取ったうえで、適切な強調やイントネーションを自動で調整し、より自然な音声を生成できるようになりました。
AIが単語同士の関係性や文の構造を理解し、重要な部分を強調したり、感情の込め方を変えたりすることが可能になったのです。



そのため、ユーザーが細かくプロンプトで指示を出さなくても、人間らしいナレーションや読み上げが実現できるようになっています。
ElevenLabs の料金体系
ElevenLabsは、個人ユーザーから大企業までのさまざまなニーズに対応するため、柔軟な料金プランが提供されています。
プランごとに月額費用や利用できるクレジットなどが異なるため、あなたの利用量を考えて最適なプランを選んでください。
プラン名 | 月額費用 | 月間クレジット/文字数 | 商用利用 | オーディオ品質 (kbps) | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|
Free | 無料 | 10,000文字 (約10分) | 不可 | 128 | 最先端のAIオーディオを試用 帰属表示が必要 |
Starter | 5ドル | 30,000文字 (約30分) | 可 | 128 | ホビイスト向け、商用ライセンス 20プロジェクト |
Creator | 22ドル | 100,000文字 (約100分) | 可 | 128 & 192 (API経由) | プレミアムコンテンツ制作者向け 追加クレジット従量課金 |
Pro | 99ドル | 500,000文字 (約500分) | 可 | 128 & 192 | コンテンツ制作を拡大するクリエイター向け 44.1kHz PCM出力 |
Scale | 330ドル | 2,000,000文字 (約2,000分) | 可 | 128 & 192 | スタートアップ・出版社向け 複数シート |
Business | 1320ドル | 11,000,000文字 (約11,000分) | 可 | 128 & 192 | 急成長するスタートアップ 出版社向け、低遅延TTS |
Enterprise | カスタム | カスタム | 可 | カスタム | 大量利用の企業向け カスタム契約 優先サポート |
ElevenLabsの商用利用
ElevenLabsの商用利用は、利用規約により明確に設定されています。
無料プランでは、生成された音声の商用利用は許可されていません。



また、コンテンツを公開する場合には、タイトルに「elevenlabs.io」や「11.ai」を含める必要があります。
Starter以上の有料プランでは、すべてに商用ライセンスが含まれています。
有料プランで生成された音声は、法律やElevenLabsの規約に反しない限り、永続的に商用利用が可能です。
永続的に商用利用が可能という点は、長期的なプロジェクトを計画する企業にとって、大きな安心材料となるでしょう。
ElevenLabsの始め方
ElevenLabsを使うには、まず公式サイトでのアカウント作成が必要です。
トップ画面右上の「サインアップ」をクリックしてください。



Googleアカウントで登録する方法と、E-mailとパスワードを登録してアカウントを作成する方法の2パターンがあります。
ログインが完了すると、ユーザーネームや誕生日を登録する画面に移行します。
その他にも、ElevenLabsを知った理由や利用目的など、各種質問に回答してください。
ElevenLabsからの質問にすべて回答すると、トップページに移行します。
ElevenLabsの利用を始める前に、何文字の音声生成ができるか確認しておきましょう。
残りの文字数は、画面右下のアカウントをクリックすると確認できます。
プロンプト入力欄が画面中央の上部にあります。
この入力欄に生成したい音声のテキストを入力してください。
プロンプト
こんにちは、リアムです。
プロンプトを入力したら、画面下部にある「Generate speech」をクリックすると音声が生成されます。



生成された音声がこちらです。
実際にElevenLabsを使ってみた
ElevenLabsには、「Text to Speech」や「Sound Effects」などのさまざまな機能があります。
ここでは、実際にElevenLabsを使って、いろいろな機能を紹介します。
Text to Speech
Text to SpeechはElevenLabsの中心となる機能で、テキストから音声を生成できます。
Text to Speechを利用するには、まず画面左側のサイドバーにある「Text to Speech」をクリックします。
続いて、画面中央のプロンプト入力欄に、生成したい音声をテキストで入力します。
プロンプト
今日の気温は25℃で過ごしやすい一日でした。明日は30℃まで上がり暑い一日になるでしょう。
生成結果はこちら
そのままでもかなり自然な音声ですが、若干の違和感があるためAIだと分かります。



しかし、オーディオタグを活用すれば、より自然な音声になるでしょう。
Sounf Effects
Sound Effectsは、テキストから効果音を生成する機能です。
今回は試しに、Sound Effectsの画面に表示されていたサンプルのプロンプトを使用してみました。
プロンプト
Cat purring loudly(猫が大きな声で喉を鳴らす)



4つの効果音が生成されました。以下の中から気に入った効果音をえらべます。
インターネット上には、フリーで利用できる効果音がアップロードされています。しかし、イメージに合う効果音を見つけるのは難しいものです。



このSound Effectsを利用すれば、イメージ通りの効果音を自分で生成できるでしょう。
Voice Changer
Voice Changerは、アップロードした音声を、AIが話す音声に変換してくれる機能です。
利用方法は、まず音声をドラッグしてアップロードするか、マイクで録音をします。
続いて、誰の音声に変換するのか話者を指定して、「Generate speech」ボタンをクリックします。



今回は、先ほどText to Speechで生成した「Enzo」の声を、「Kuro」の声に変換してみます。
Enzo
Kuro
元の音声が、全くの別人が話している音声に変換されました。



YouTubeのような動画サイトに投稿する際に、自分の声は出したくない人は、Voice Changerを利用するといいでしょう。
ElevenLabsに関するよくある質問
ここでは、ElevenLabsを利用する際によくある質問に回答します。
APIは使える?
現時点では、Eleven v3 (alpha)のパブリックAPIは「近日公開予定」とされています。
早期アクセスを希望する場合はElevenLabsの営業担当者への問い合わせが必要です 。
正式なリリース時期や詳細については、今後の公式アナウンスを待ちましょう。
日本語でも自然な発音になる?
ElevenLabsは、日本語でも自然な発音になります。



ElevenLabsのVoiceの中には、日本語用の音声が用意されているためです。
日本語用のボイスを選択するには、画面右側のセッティング欄で「Voice」をクリックします。
続いて、表示された検索欄に「japanese」と入力すると、日本語用のVoiceが複数表示されます。
この中から好みの音声を選べば、自然な日本語で音声を生成してくれます。
自分の声をアップロードして使える?
ElevenLabsの「ボイスクローン」を利用すれば、自分の声を再現した音声を生成できます。
ボイスクローンとは、自身の声にそっくりなレプリカを作る機能で、わずか数分の音声をアップロードするだけでOK。
アップロードした声をもとに、あなたの声で70以上の言語によるスピーチが可能になります。



ナレーションや多言語展開、個人ブランディングなど、自分の声を活かした音声コンテンツ制作にぴったりの機能です。
まとめ|ElevenLabsは進化を続ける音声AIの決定版
ElevenLabsは、ディープラーニングを活用して自然な音声を生成する、最先端の音声AIツールです。
その高い音質と表現力から、音声生成AIを代表するサービスのひとつとして注目を集めています。
主な特長は以下のとおりです。
- 自然な抑揚と感情表現が可能な音声生成
- 複数人での自然な会話を実現する「ダイアログモード」
- 感情や非言語表現を簡単に指示できる「オーディオタグ」
- 70以上の言語に対応した多言語展開
また、無料プランからカスタムプランまで柔軟な料金体系が用意されており、有料プランでは商用利用も可能です。
プレゼン資料のナレーションや動画コンテンツ、ゲームのキャラクターボイスなど、活用の場は無限大。
まずは無料プランから試して、ElevenLabsが生み出すリアルな音声を体感してみてください。