近年、AIを活用したアプリケーションの開発が加速する中で「Dify」と「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」の組み合わせが注目を集めています。
Difyは、ノーコード・ローコードでAIアプリを構築できるプラットフォームであり、RAGは検索技術と生成AIを組み合わせた最新技術です。
この2つを組み合わせることで、単なるAIチャットボットではなく、リアルタイムの情報を活用した高度なAIシステム を構築できるようになります。
- DifyでRAGを使うメリット
- 具体的な活用事例
- 実際の導入方法

DifyでRAGを活用したい方は必見です。ぜひ最後までご覧ください
Difyとは
Difyとは、AIアプリをノーコードまたはローコードで開発できるプラットフォームです。
従来、AIシステムの開発にはPythonやAPIの知識が必要でしたが、Difyを利用すれば、プログラミングスキルがなくても簡単にAIを活用したアプリを構築できます。
Difyの主な特徴
- ノーコード・ローコードでAIアプリを構築可能
- 直感的なGUIを使用してAIアプリを作成
- コーディング不要で簡単にプロンプト設計やワークフローを構築
- 多様なAIモデルとの連携が可能
- GPT-4o、Claude、Gemini などの大手AIモデルを活用可能
- 独自のLLM(大規模言語モデル)を組み込むことも可能
- ワークフロー機能で複雑な処理を自動化
- APIを利用して外部サービスと連携
- データの前処理・後処理を柔軟に設定
- RAGの実装が容易
- データベースや外部情報を検索し、AIの回答精度を向上
- GUI上でRAGを設定できるため、技術的ハードルが低い
- APIを活用した外部連携が可能
- Dify APIを利用して、独自のシステムと統合
- 企業のカスタムAIソリューションとしても最適



Difyの最大の強みは、「AIを活用したアプリを、専門知識がなくても簡単に作れること」 です。
そして、ここにRAGを組み合わせることで、さらに高度なAIシステムを構築できます。
RAGとは
RAG(検索拡張生成)とは、検索技術(Retrieval)とAIの生成能力(Generation)を組み合わせた最新技術です。
通常の大規模言語モデル(LLM)は、学習済みのデータをもとに回答を生成します。
しかし、この方法では新しい情報を反映したり、特定の企業データを活用したりすることが難しくなります。



そこで登場したのがRAGです。
RAGを活用することで、外部データをリアルタイムに検索し、その情報をもとにAIが回答を生成することができ、最新情報を活用した高精度なAIアプリを構築できるのです。
RAGは主に以下の2つのフェーズで構成
- 検索フェーズ(Retrieval)
- ユーザーのクエリ(質問)に関連する外部データを検索
- 例:企業のFAQデータベース、PDF文書、Webページ、社内ナレッジベース
- 生成フェーズ(Generation)
- 検索で取得した情報をもとに、AIが回答を生成
- 例:問い合わせ対応の自動化、ドキュメント要約、レポート作成
DifyでRAGを使うメリット
DifyでRAGを活用すると、次のようなメリットがあります。
- リアルタイム情報を活用できる
- 通常のLLMは過去のデータをもとに回答を生成しますが、RAGを組み込むことで、最新情報を反映した回答を作成可能です。
- 専門的な情報を取り込める
- 企業の社内データや業界特化型のデータを活用し、より精度の高い回答を提供できます。
- Difyのワークフローと組み合わせて簡単に実装可能
- DifyではRAGをワークフローの一部として組み込むことが可能であり、ノーコードでRAGの実装ができるため、開発のハードルが低いです。



RAGを活用することで、DifyのAIモデルをより実用的かつ安全に運用でき、最新情報に基づいた精度の高い回答を提供できるようになります。
RAGでは何ができる?活用事例4つ
DifyとRAGを組み合わせることで、様々な分野で高度なAIアプリケーションを構築できます。



具体的な活用事例を4つ紹介します。
事例1. FAQ自動応答システム
企業のFAQ(よくある質問)データベースを活用し、顧客の質問に対して最適な回答を自動生成するシステムです。



Difyのワークフロー機能を使うことで、RAGによるFAQ検索とAIによる回答生成を組み合わせることが可能です。
活用の流れ
- 顧客がDifyのチャットボットに質問を送信
- RAGがFAQデータベースから関連情報を検索し、適切な回答を生成
- 顧客に自動で返信
メリット
- リアルタイムで最適な回答を生成(更新された情報を即時反映)
- 問い合わせ対応の負担を大幅に削減(カスタマーサポートの業務効率化)
- 検索と生成を組み合わせることで、より自然な応答を実現
具体的な導入例
- ECサイトの問い合わせ対応(注文状況、返品ポリシーなど)
- SaaS企業のカスタマーサポート(アカウント管理、機能説明)
- 医療機関の患者向けチャットボット(診察予約、薬の説明)
事例2. レポート生成ツール
社内データを活用し、RAGを用いて情報を取得、AIが最適なレポートを自動生成するツールです。



営業報告、調査レポート、マーケティング分析など、定型的なレポートを自動作成できます。
活用の流れ
- ユーザーがDifyに「〇〇のレポートを作成して」と指示
- RAGが社内データや市場レポートから関連情報を検索し、適切な回答を生成
- 文章や表を整えて、最終レポートとして出力
メリット
- 手作業の削減で業務効率化(レポート作成時間を短縮)
- データの裏付けが明確(検索した情報をもとにレポートを作成)
- 一貫性のある文書を自動生成(フォーマット統一)
具体的な導入例
- 営業活動の報告書作成
- マーケティング分析レポートの自動作成
- 人事部門の評価レポート作成
事例3. カスタマーサポートの自動化
RAGを活用し、過去の問い合わせ履歴や製品マニュアルを検索しながら、Difyを使って最適なカスタマーサポート対応を自動化します。
活用の流れ
- 顧客が問い合わせを送信
- RAGが過去のサポート履歴やマニュアルから関連情報を検索し、適切な回答を生成
- 顧客に自動で返信
メリット
- オペレーターの負担を軽減(対応時間の短縮)
- 過去の対応履歴を活かして精度の高い回答を提供
- 24時間365日対応可能な自動サポート
具体的な導入例
- IT企業のテクニカルサポート(エラーメッセージ対応、トラブルシューティング)
- 金融機関の問い合わせ対応(ローン審査、口座管理)
- 製造業のアフターサービス(製品故障対応、メンテナンス情報提供)
事例4. エンジニア向けドキュメント検索AI
ソフトウェア開発の現場では、技術ドキュメントやAPIリファレンスを素早く検索し、適切な情報を取得することが求められます。



RAGを活用することで、開発者向けの高度なドキュメント検索AIを構築できます。
活用の流れ
- エンジニアがDify上で技術的な質問を入力
- RAGがAPIリファレンスやコードサンプルから関連情報を検索し、適切な回答を生成
- 関連ドキュメントのリンクも提示して返信
メリット
- 開発のスピード向上(必要な情報を即時取得)
- 最新の技術情報を活用可能(常に最新のドキュメントを参照)
- チーム内のナレッジ共有が容易(FAQシステムとしても活用)
具体的な導入例
- ソフトウェア開発企業の社内ナレッジベース
- API開発者向けの自動ドキュメント検索
- OSS(オープンソースソフトウェア)のサポートAI



これらの事例からも分かるように、DifyとRAGを組み合わせることで、AIの活用範囲は大幅に広がります。
DifyでRAGを活用して実際にアプリを作ってみた
ここでは、RAGを組み込んだFAQ自動応答システムを簡単構築してみます。
Difyのワークフロー機能を活用することで、ノーコードで検索拡張型のAIチャットボットを作成できます。
作成するアプリの概要
- 目的
- FAQデータを活用し、ユーザーの質問に対してAIが最適な回答を自動生成するチャットボット
- 特徴
- RAGを組み込むことで、FAQデータを検索しながら回答を生成
- Difyのノーコード環境で簡単に実装可能
- API連携で外部システムとも接続できる
- 想定用途
- カスタマーサポートの自動化(問い合わせ対応の負担軽減)
- 社内ナレッジ共有(社内FAQ、技術文書検索)
1. FAQデータをアップロード(CSV / JSON / PDF)するために、画面上部の「ナレッジ」をクリック。


2. 「ナレッジを作成」をクリック。


3. FAQリストをCSV形式で用意し、Difyにアップロードし「次へ→」
例
質問 | 回答 |
返品の方法は? | 返品は商品到着後7日以内に可能です。 |
配送の時間指定はできますか? | 可能です。注文時に時間帯を選択してください。 |


4. 「ナレッジのチャンク」項目を設定


- ベクトル検索(意味検索を優先する場合)
- 全文検索(キーワードマッチを優先する場合)
最後に「保存して処理」で設定を保存



💡 RAGを有効化することで、AIがFAQデータを検索しながら回答を生成できるようになります。
1. 「最初から作成」ボタンをクリック


2.「チャットボット」タイプを選択し、「アプリの名前」と「アイコン」を決めたら、「作成する」をクリックして新規アプリを作成。


1. 「モデルコンフィグ」タブを開き、「モデル」項目で「gpt-4o-mini」または他モデルを選択。


2.プロンプトを設定(FAQの回答に最適化するために以下のように設定)
「オーケストレーション」の手順欄にある「自動」をクリック。


3. 「指示」の箇所に下記プロンプトを入力し「生成」をクリック。
あなたはFAQチャットボットです。
ユーザーの質問に対し、FAQデータを検索し、正確かつ簡潔に回答してください。
可能な限り最新の情報を反映し、親しみやすい口調で応答してください。


4. 生成が完了したら「適用」をクリックして保存。


1.「コンテキスト」の「+追加」をクリック


2. 「ナレッジ」で追加したファイルを選択し「追加」


3. 有効な機能を確認


「引用と帰属」が「有効」になっていることを確認する。


4. 自動生成された「変数」の「オプション」を有効化する。


1.「デバッグとプレビュー」エリアで動作確認
2.質問を入力し、AIがFAQデータを活用して適切な回答を生成するか確認


3.「公開する」ボタンを押してアプリを公開





💡 公開後、URLを共有するだけでユーザーが利用可能に!
また、APIを使えばWebサイトやLINE、Slackなどに統合することもできます。
DifyでRAGを活用する際の注意点
DifyでRAGを活用する際には、以下のポイントに注意する必要があります。
精度向上させるポイント
- FAQデータの品質を確保する
- 情報が古くならないよう、定期的に更新
- ユーザーが理解しやすい形でデータを整理
- 質問と回答を1対1でペアリング
- 検索アルゴリズムを最適化する
- ベクトル検索 vs. キーワード検索を適切に選択
- 検索アルゴリズムのパラメータを調整
- プロンプトエンジニアリングを活用する
- AIの回答品質を向上させるため、適切な指示を与える
- 「必ずFAQの情報を参照する」と明示する
よくあるエラーの対処法
- RAGが正しい情報を検索しない場合
- FAQデータのフォーマットや検索方法を見直す(ベクトル検索のパラメータを調整)


- ベクトル検索
- 意味に基づいたマッチングを行う
- 全文検索
- 正確な照合が必要な場合(固有名詞、製造番号、地名など)
- ハイブリッド検索
- 「ベクトル検索」「全文検索」両方のメリットを組合せ、欠点を補完しあったもの。
- AIの回答が曖昧・誤った情報を含む場合
- プロンプトを調整し、「情報ソースを明示する」指示を追加


上記「引用と帰属」が有効化されている事を確認してください。
- 検索結果が見つからない場合の対応
- FAQデータを増やし、カバー範囲を広げる
- カスタマーサポートへの誘導メッセージを組み込む
まとめ
Difyを活用することで、RAGを組み込んだAIアプリを簡単に作成できます。
- リアルタイム情報を活用できる
- 専門的な情報を取り込める
- Difyのワークフローと組み合わせて簡単に実装可能
特に、FAQ応答システムは多くの企業で活用しやすく、問い合わせ対応の自動化や業務効率化に貢献します。
XServer VPSでDifyを使えば、低コストで導入できます。



ぜひ、Difyを活用し、検索拡張型AIの可能性を最大限に引き出してみてください!

