2025年5月にGoogle DeepMindが発表した「Imagen 4」は、次世代の画像生成AIとして、多くの専門家やクリエイターの間で注目を集めています。
既存の人気モデルと比較しても、Imagen 4は画質やプロンプト理解、生成スピード、制御性といった多くの点で新たな可能性を示しました。
本記事では、Imagen 4とはどのような技術なのか、その基本的な仕組みから、他の生成AIとの違いや利用方法、実際のユースケースまで幅広く解説します。
Imagen 4とは?

Imagen 4は、Google DeepMindが開発した最新のテキスト画像生成AIです。

このモデルは、従来のImagenシリーズをさらに進化させ、高解像度・高忠実度な画像を生成できる点が大きな特徴です。
特に、テキストプロンプトの理解力が高く、複雑な構図や抽象的な表現にも対応できる柔軟性が評価されています。
さらに、Imagen 4はGoogleのGeminiモデル(旧PaLM 2)との連携を前提に設計されており、テキストの理解力が従来よりも大幅に向上しています。
加えて、安全性や倫理性に配慮したコンテンツフィルタリング機構を備えており、商用利用においても信頼できる仕様となっています。


Imagen 4と従来モデルの違い


Imagen 4と従来のImagen 3やImagen Videoとの最大の違いは、「精度」と「制御性」にあります。



生成される画像のディテールは格段に向上しており、光の反射や質感、奥行きといった要素の再現性が、より現実に近づいています。
この進化は、拡散モデル(diffusion model)の学習効率やパラメータの最適化によって実現されたものです。
さらに、複数の画像生成モデルを対象とした第三者機関の比較検証においても、高い評価を得ています。
また、DALL·E 3やAuroraでは、プロンプトをチャット形式で補正するインターフェースが特徴ですが、Imagen 4では初回の入力段階から適切な画像を生成できる精度の高さが評価されています。
Midjourneyが芸術的・抽象的なスタイルを得意とする一方で、Imagen 4はリアリスティックかつ正確な描写に強みがあります。



こうした特性の違いはユースケースに応じたAI選びにおいて重要な判断材料となるでしょう。


Imagen 4の料金体系
Imagen 4の利用には「Gemini 」「Whisk 」あるいは「Vertex AI 」経由でのアクセスが一般的です。
2025年6月現在、一般ユーザー向けの無料トライアル枠が提供されており、一定回数までは無料で画像生成が可能です。



ただし、本格的な商用利用や大量生成を行う場合には、従量課金プランが適用されます。


料金はプランに応じて変動し、商用API利用や高度なカスタマイズ機能を含めた「Google AI Pro」プランは月額課金制で提供されています。
その上位互換版であるGoogle AI Ultraもあり、こちらはより多くのクレジットとストレージが用意されています。



まずは無料で試して、不足が出てきた場合にサブスクのプランに入ることをおすすめします。
Imagen 4の使い方
今回はImagen 4の使い方を、Whiskというツールを例にご紹介します。


画面右上にある「Sign in with Google」をクリックすると下記のような画像が出るので、Googleアカウントでログインしましょう。
WhiskはGoogleアカウントを持っていれば誰でも無料で利用を開始できます。


ログインできたらすぐに利用の開始が可能です。


画面の「ツールを開く」をクリックして、Imagen 4の入力画面へ進みましょう。


ツールを開くと、テキスト入力欄が表示されます。
ここに「どんな画像を作りたいか」を言葉で説明する文章(プロンプト)を入力します。
プロンプトの入力が完了したら、右下の黒い丸い矢印ボタンをクリック。
数秒から十数秒ほど待つと、画像が自動生成されて画面に表示されます。





インターフェースは直感的で、生成画像の履歴保存やダウンロードもワンクリックで可能です。
実際にImagen 4を使ってみた
実際にImagen 4を使ってみると、その画像生成の精度に驚かされます。
たとえば「青空の下で読書をする日本人女性」というプロンプトでは、自然な光の演出や人物の構図が非常にリアルに表現され、背景の細部にも破綻がありませんでした。





また、複雑な状況を含むプロンプト、例えば下記のような細かいプロンプトでも、的確に情報を咀嚼して構図に反映させてくれます。
ブルーとパープルのネオンが交錯する東京風の未来都市を背景に、和風のサイバースーツを纏った女性型サイボーグが静かに歩いている。彼女の身体は黒曜石のように艶めくチタン合金製で、柔らかいハカマ風の布地が風に揺れ、肩からかかる羽織には和柄のサイバー模様が走る。頭には白地に赤の装飾が入った狐面を斜めに被っており、その下から覗く彼女の顔は無表情だが、眼差しは鋭く、青く発光する瞳にはホログラム状のパターンが浮かぶ。髪は銀髪の結い髪スタイルで、金属製のかんざしが光を反射している。構図はローアングルで、背景には巨大な高層ビルと縦書きのカタカナのネオンサイン、ホバーカーや空中ドローンが飛び交う空、そして彼女の背後から差し込むネオン光によるレンズフレアが印象的。雨上がりの路面は光を反射し、幻想的かつクールな近未来の和とテクノロジーの融合世界を描き出している。


特筆すべきは、画像の生成スピードとプロンプトの解釈力のバランスです。
プロンプトを変えても一貫した品質が保たれ、さらに「編集」や「再生成」などの追加オプションを使うことで、より高度な画像演出も可能になります。



他の画像生成AIにありがちな「違和感のある手」や「歪んだ背景」などのエラーも少なく、商用に近い精度のアウトプットを手軽に得られる点が大きな魅力です。
アニメーション化してみた
先ほどの狐面アンドロイドに街中を歩いてもらいました。



アニメーションの作成には1分ほど掛かり、なかなか指示が難しい印象です。


他の画像生成AIとの違い
Imagen 4は他の画像生成AIと比較して、どのような違いがあるのか詳しく解説していきます。
比較表
項目 | Imagen 4 | DALL·E 3/4o | Midjourney v7 |
---|---|---|---|
特長 | ・最大2K解像度の高画質 ・写実〜イラストまで対応 ・Google最新AI ・テキスト描画が得意 ・細部表現に優れる | ・ChatGPT統合で使いやすい ・画像内テキスト描画に特化 ・複雑な指示も対応 ・4oは編集機能強化7 | ・芸術的・高品質な画像 ・クリエイティブ表現が得意 ・人物表現が大幅改善 ・多様なアートスタイル |
料金 | ・無料版あり ・有料版詳細未公表 | ・ChatGPT Plus:月額20ドル ・無料版:1日限定枚数 ・API従量課金 ・Bing無料 | ・Basic:月額10ドル ・Standard:月額30ドル ・Pro:月額60ドル ・年契約割引あり |
商用利用 | ◯ Googleによる著作権処理済み | ◯ 有料プランで商用利用可 | ◯ 有料プランで商用利用可 |
日本語利用 | ◯ | ◯ | △ 基本英語のみ |
おすすめの人 | ・Googleサービス利用者 ・高解像度画像が欲しい ・無料で試したい | ・ChatGPTユーザー ・テキスト入り画像が欲しい ・日本語操作したい | ・クリエイターやデザイナー ・芸術性重視 ・高品質商用画像が必要 |



用途に合った画像生成AIを選択しよう
性能比較グラフ


Imagen 4は、DALL·E 3やMidjourney、Stable Diffusionといった主要な画像生成AIと比較した際、以下の点で際立っています。
プロンプト理解力の高さ
Midjourneyは抽象的で芸術的な表現に優れていますが、構造的・物理的整合性ではImagen 4に軍配が上がります。DALL·E 3はChatGPTとの連携によって文脈理解が強化されていますが、Imagen 4はそれ単体で十分な理解力を持っています。
生成画像の品質と現実性の高さ
リアルな写真風の表現や自然なポーズの人物生成においては、Imagen 4の方が一歩抜きん出ています。
3Dライクなライティングやテクスチャ表現にも優れており、商用利用に適した画像が多く生成されます。
APIおよびビジネス利用への親和性
GoogleのVertex AIと統合されていることで、企業向けサービスとの連携が容易であり、スケーラブルな運用が可能となっています。
Imagen 4を利用する際の注意点
Imagen 4は高性能で魅力的なツールですが、利用にあたってはいくつか気をつけるべきポイントがあります。
まず、すべてのユーザーに無制限で提供されているわけではなく、商用利用や大量リクエストにはGoogle側の承認や有料契約が必要になります。



生成コンテンツの利用においては、倫理的ガイドラインに準拠する必要があり、Googleのポリシーに反する表現(暴力・差別・性的コンテンツなど)はブロックされる設計になっています。
さらに、日本語対応については完全ではあるものの、英語と比べるとやや精度が劣る場面もあります。
プロンプトの設計においては、英語での入力の方がより意図通りの出力が得られるケースが多いため、注意が必要です。



とはいえ、今後のアップデートによって多言語対応はさらに改善が見込まれています。
Imagen 4に関するよくある質問
ここでは、Imagen 4に関するよくある質問についてお答えします。
どのような画像が生成できる?
風景、人物、建築、動物、空想的な場面など、幅広いジャンルの画像が生成可能です。
特に写実的な描写に強みを持っており、プロダクトビジュアルや広告用素材としての活用も期待できます。



写実的な描写に強いとお伝えしましたが、実は文字の破綻が少ないのも特徴的で(漢字はまだ微妙ですが…)、以下のようなポスターもサクッと作れたりしますよ。


プロンプト
A beautifully composed poster illustration for the Tokyo Bay Fireworks Festival. The scene features a dazzling night sky above Tokyo Bay, lit by colorful fireworks bursting over a silhouette of iconic Tokyo landmarks, including Tokyo Skytree, Rainbow Bridge, and Tokyo Tower. In the foreground, a young couple dressed in traditional yukata stand hand in hand, smiling gently at one another beneath soft, glowing paper lanterns. The woman’s floral yukata flows in the night breeze, while the man’s dark-toned yukata gives balance to the composition. The atmosphere is romantic and festive, capturing the warmth of a midsummer evening in Japan.
The following Japanese text is elegantly integrated into the poster design, in calligraphic or clean modern font:
東京湾大花火大会 (displayed prominently at the top or center, styled like a festival logo)
2025年7月7日 19:00開始 (placed near the bottom or side in a balanced, elegant layout)
The overall design blends traditional Japanese aesthetics with modern illustration style, featuring soft gradients, glowing lanterns, and a harmonious balance of text and imagery, making it ideal as a real-world festival advertisement poster.
Imagen 4は日本語で使える?
基本的な日本語プロンプトには対応しており、日本語で入力しても画像は生成されます。
ただし、複雑な文脈や抽象表現に関しては、英語の方が安定した結果が得られる傾向にあります。
以下の画像をご覧ください。


「どのような画像が生成できる?」でご紹介したプロンプトを日本語にしたのですが、構図こそ変われど意味は100%通じています。



まずは日本語で詳細度を上げて生成してみて、それでも上手くいかなければ英文で生成してみると良いかもしれません。
Imagen 4は商用利用OK?
Imagen 4で生成されたものは、商用利用が許可されています。
ただし、利用前に利用規約を確認し、生成コンテンツの権利と責任の所在を理解しておくことが重要です。
以下の点に関しては、十分にご留意ください。
- 個人が特定できる実在する人物
- 知的財産の侵害
- 暴力や差別、違法行為などを助長するような仕様
まとめ
Imagen 4は、Googleが提供する最新の画像生成AIとして、非常に高い精度と実用性を備えたモデルです。
他の生成AIと比べても、プロンプト理解力や出力の品質、ビジネスでの導入容易性といった多くの点で優れており、商用利用を視野に入れるユーザーにとっては非常に魅力的な選択肢となっています。
本記事でご紹介した特長・活用方法・注意点を参考に、ぜひご自身の目的やスキルレベルに合った画像生成AIを選んでみてください。
今後も生成AI技術は進化を続けるため、最新情報をチェックしながら、適切なツールを柔軟に使いこなしていくことが重要です。