2024年12月、Googleから新たに登場したリサーチ支援ツール「Google Deep Research」
さらに、2025年4月には最新のAIモデル「Gemini 2.5 Pro」にも対応し、より精度の高いレポート作成が可能になりました。
当初は有料プランでしか利用できなかったため、まだ利用していない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、Google Deep Researchの3つの特長や、具体的なプロンプト例を紹介しながら活用事例を紹介します。
あなたの生活やビジネスで利用するためのヒントとなるので、ぜひ最後までご覧ください。

Google Deep Researchとは?

Google Deep Researchとは、Googleが提供する生成AI「Gemini」シリーズを活用したリサーチ支援機能です。有料版では、最新モデル「Gemini2.5 Pro」の利用も可能です。
GeminiはGoogleが開発した高度な生成AIで、文書作成や要約・リサーチを得意としています。
Google Deep Researchは、検索した内容に対する答えを表示するだけでなく、検索意図を分析して、周辺情報を深掘りしたレポート結果を表示します。

膨大な情報が要約されて、分かりやすい形で表示されるため、リサーチにかかる時間を大幅に削減可能です。
使い方は非常にシンプルで、「今日の天気は?」「○○について教えて」などの簡単なプロンプトを入力するだけで、背景情報や関連事項を含めた詳細な回答が得られます。
GoogleやYahoo!JAPANなどの検索サイトで、検索ワードを入力するのが苦手な人でも、Deep Researchであれば簡単にさまざまな情報にアクセス可能です。
Google Deep Researchの特長3つ
Google Deep Researchは、リサーチの質と効率を飛躍的に高めてくれる革新的なツールです。多くの情報源からの収集・要約に加え、Googleドキュメントとの連携もスムーズ。
ここでは、特に注目すべき3つの特長をご紹介します。
リサーチ計画の提案
GoogleのDeep Researchは、プロンプトに基づきリサーチを開始する前に、どのようなリサーチをするか計画を提案してくれます。
例えば、「今後の日経平均の推移を予想してください」と質問した場合、以下のような計画を立てます。
このリサーチで問題なければ、「リサーチを開始」をクリックすると、詳しい調査が始まります。リサーチ項目を修正したい場合は、「計画を編集」をクリックするとプロンプトを入力して指示が可能です。
リサーチ計画の編集は、以下のような修正を指示できます。
- 調査対象の指定や除外
- 重点的に調査する項目の指定
- 情報の深さ
会話形式で指示を出すことで、より思惑通りのリサーチ結果となるでしょう。
多くの情報源を調査
Google Deep Researchは、Webサイトの情報だけでなく、さまざまな情報源を調査します。複数の情報源を調査することにより、情報の正確性や多様性が増して、質の高いリサーチ結果となります。
Deep Researchの調査対象となる主な情報源は以下のとおりです。
- Webサイト:公的サイトやニュースサイト・企業サイト・ブログなど
- 論文:学術論文のデータベース
- 統計データ:公的機関や研究機関が公表しているもの
- 書籍:Google Booksのような電子書籍
- SNS:YouTubeやX・Noteなど
リサーチに使用したサイトや論文は、以下のように一覧で表示されます。リンクをクリックすれば、情報源のページに飛べます。
Googleドキュメントで編集可能
Google Deep Researchのリサーチ結果は、ワンクリックでGoogleドキュメントに移行できます。
画面右上に表示される「Googleドキュメントで開く」ボタンをクリックするだけで、全文がドキュメント上に反映されます。
Googleドキュメントでは、以下のようなメリットがあります。
- そのまま編集・加筆が可能
- 見出しの階層や書式も自動で保持
- 表や箇条書きなどのレイアウトも崩れない
これにより、リサーチ結果をもとにしたレポート作成や資料づくりが効率化され、チームメンバーとの共有や共同編集もスムーズに行えます。
Google Deep Researchの料金体系
Google Deep Researchは無料でも利用できますが、有料プランではより高性能なAIモデルが用意されています。
ここでは、個人向けの「Gemini Adbanced」と、法人やグループ向けの「Business Standard」の料金体系を解説します。
個人向け:Gemini Advanced
個人ユーザー向けのGemini Advancedは、「Google One」のAIプレミアムプランに加入することで利用可能です。
無料版と有料版の違いは以下のとおりです。
項目 | 無料版 | 有料版(Gemini Advanced) |
---|---|---|
利用料金 | 無料 | 月額2,900円 |
利用可能なAIモデル | Googleの2.0 Flashモデルと試験運用版(2.5 Proを含む) | Gemini 2.5 Pro |
Deep Research | 1日10回まで | 1日20回まで |
特長 | あらゆるトピックに対応したカスタムAIエキスパート(Gem)の作成・利用が可能 | Gemini in Gmail/Googleドキュメントなどのツール連携で業務効率化 (※一部の言語に限定) |
Gemini Advancedでは、最新のGemini 2.5 Proを使ってDeep Researchを利用することができます。
Gemini 2.5 Proは、推論精度と応答の一貫性が大幅に向上しているため、より正確なリサーチ結果が表示されます。
さらに、AIプレミアムプランでは、以下のような特典機能も利用可能です。
- 新機能への優先アクセス
- 2TBの保存容量
- Gemini in Gmail
- Gemini in Googleドキュメント
- NotebookLM Plus



また、期間限定の割引キャンペーンが実施されることもあるため、公式サイトのチェックがおすすめです。
法人向け:Google Workspace Businessプラン
法人やチームでの利用には、Google Workspaceのビジネス向けプランでDeep Researchが活用できます。
主なプランと月額料金は以下の通りです。
- Business Starter:月額800円(1 年契約の場合)
- Business Standard:月額1,600円(1 年契約の場合)
- Business Plus:月額2,500円(1 年契約の場合)
- Enterprise:要問合せ
各プランでは、Google Deep Researchを含むGemini機能を複数のユーザーで共有・活用できる点が特長です。



特にBusiness Standard以上のプランでは、ユーザーごとに2TBのストレージが提供されるなど、業務効率化にもつながります。
Google Deep Researchの使い方
ここでは、基本的な使い方を5つのステップに分けて紹介します。
まずは、GeminiのDeep Researchの公式ページへアクセスしてください。続いて「Deep Researchを無料でお試しください」をクリックします。
画面下部のプロンプト欄に、知りたいことや調べたい内容を入力します。
今回は「ピタゴラスの定理について解説してください」と入力しました。
質問内容に沿ってAIがリサーチの計画を提案します。計画を修正する場合は、「計画を編集」をクリックしてください。



より分かりやすい内容にするために、「小学生でも理解できる内容にしてください」と追加指示をしました。
修正された内容で問題がなければ、「リサーチを開始」をクリックします。
さまざまな情報源から収集したリサーチ結果が作成されました。深掘りしてほしい部分や、追加が必要な個所があれば、追加で指示が可能です。
画面右上に表示されている「Googleドキュメントにエクスポート」をクリックすると簡単に共有できます。



表や箇条書き、見出し構成も自動で保持されるため、編集・共有・資料作成がスムーズです。
Google Deep Researchの活用事例
Google Deep Researchは、マーケティングや投資での企業分析などで活躍します。ここでは、Google Deep Researchの具体的な活用事例を紹介します。
1.マーケティング
Google Deep Researchは、自社製品の販売を拡大するためのマーケティングに活用できます。



AIが膨大な情報源から分析し、戦略設計に必要な要素を網羅的に提供してくれるからです。
- 市場のトレンド
- 競合他社の製品
- 価格戦略
- 顧客ニーズやインサイト
例えば、市場のトレンドを把握していれば、時代の流れに沿った商品を開発でき、売上増を期待できます。市場のトレンドは、SNSやニュースサイトなどの速報性のある情報を参考にして調査されるので、信頼性は高いでしょう。
また、顧客の潜在ニーズを把握する「顧客インサイト分析」も得意としています。ペルソナに合わせたマーケティング施策を提案してくれる点も魅力です。
プロンプト例
関東で中古自動車販売をしています。中古車の販売金額が上がっているため、若年層が車を購入してくれません。若年層にアプローチするために、どのようにマーケティングを行えばいいかリサーチしてください。



数値を基にした説得力のあるマーケティング戦略が提案されました。
2.投資での企業分析
株式や債券に投資する際に、企業の分析は欠かせません。Deep Researchが企業の財務分析をおこなえば、企業の成長性や潜在的なリスクを把握でき、投資をするかの判断に大いに役立つでしょう。
また、M&Aの際のデューデリジェンス(企業調査)にも役立ちます。企業の資金調達の履歴や他社との競争環境・メインの製品などを調査すれば、投資判断に必要な材料を効率よく収集・整理できます。
プロンプト例
トヨタ自動車の財務資料をもとに、今後の成長性を予想してください。



感覚的な予測ではなく、データと根拠に基づいた投資判断を下すための信頼できる情報が得られました。


3.動画の企画立案や調査
Google Deep ResearchはYouTubeのような動画サイトの情報も収集できるため、動画の企画立案やニーズ調査が可能です。
動画クリエイターにとって、企画の立案から撮影・編集までをすべて自分でこなすのは、非常に労力のかかる作業です。動画内容の企画やシナリオをGoogle Deep Researchに任せれば、撮影や編集に使える時間が増えて、より質の高い動画を投稿できるでしょう。
プロンプト例
私はキャンプ系の動画を投稿しています。最近のキャンプ系動画の傾向を調べて、新しい動画の企画を考えてください。



このレポートはYouTubeだけでなく、TikTokや個人ブログなどの情報ももとに作成されています。その結果、最新トレンドに沿った企画案や切り口が多数提案されています。
4.論文の作成
Google Deep Researchは、学術的な論文作成に使用できます。
インターネット上に公開されている論文も情報源とするため、多くの分野に対応可能です。
Google Deep Researchが作成した論文をそのまま発表することはできませんが、研究テーマに関する情報収集や構成案などを参考にできるでしょう。
プロンプト例
日本の経済状況に関する論文を、データベースから収集して、論文のテーマと調査手法・結果をまとめてください。



このレポートは、J-STAGEやCiNii Articles・国立国会図書館サーチなどに保管されている論文をもとに作成されました。日本銀行の政策や日本の産業構造などを深掘りして、専門性の高い論文に仕上がっています。
5.最新技術に関する調査
Google Deep Researchは最新の情報を入手してレポートを作成するため、AIやメタバースなど発表されたばかりの技術について調査可能です。
最新技術の情報を知っていれば、技術トレンドを把握したり、将来の予測をしたりと、さまざまな応用ができます。
プロンプト例
ブルーカラーの仕事を代替するAIについて調べてください。特に運送業で活用できる技術を知りたいです。



今回は少しニッチな分野のブルーカラーに関するAIを調査してもらいました。ブルーカラーのAIに関する現状や今後の予測がされていて、読み応えのあるレポートに仕上がっています。
Google Deep ResearchとOpenAI(ChatGPT)の違い
Google Deep Researchと似た機能は、OpenAIのChatGPTにも搭載されています。
どちらも「Deep Research」と呼ばれ、プロンプトを入力するだけでリサーチ内容を自動で構成・深掘りしてくれるのが特徴です。



ただし、提供元や強み、料金体系などに違いがあるため、用途に応じて使い分けるのがおすすめです
項目 | Google Deep Research | ChatGPT Deep Research |
---|---|---|
提供元 | OpenAI | |
利用料金 | 無料(※AIプレミアムは月額2,900円) | 月額200ドル |
使いやすさ | 〇 | ◎ |
レポートの方向性 | 検索ベースで多角的な要約・構成 | ユーザーの意図に合わせて質問を返しながら方向性を深掘り |
専門性の高さ | ◯ | ◎ |
Google Deep Researchは無料で利用できるのに対して、OpenAIのDeep ResearchはChatGPTのProプラン(月額200ドル)に加入する必要があります。
複数のジャンルでレポートを作成した結果、医療や学術分野など専門的なレポートはChatGPT のほうが深掘りされていました。



用途に合わせてDeep Researchを使い分けるのがおすすめです。


Google Deep Researchに関するよくある質問
ここでは、Google Deep Researchに関するよくある質問に回答します。
- Google Deep Researchは日本語に対応している?
-
Google Deep Researchは、日本語で使用可能です。2025年1月に日本語に対応しました。
Deep Researchはグローバル展開していて、45以上の言語に対応、150か国で利用可能です。
- APIの提供はある?
-
Google Deep Researchは、2025年4月現在ではAPIは提供されていません。また、今後の提供予定についても、Googleから公式なアナウンスは出ていない状況です。
GeminiはGoogle Cloud経由でAPI利用できますが、機能の制限があり検索プランは利用できません。
- 利用回数に制限はある?
-
Google Deep Researchには、1日の利用回数に制限があります。プランによって上限回数が異なり、利用回数の制限は以下の通りです。
- 無料版:1日10回まで
- Gemini Adbanced:1日20回まで
どちらのプランでも、上限に近づくと自動的に通知(アラート)が表示されます。
まとめ
Google Deep Researchは、質問を深掘りして詳細なレポートを作成する革新的なツールです。
Webサイトの情報だけでなく、SNSや動画サイト・論文などさまざまな情報をもとにリサーチするため、信頼性が高く、情報収集にかかる時間を大幅に削減できます。
Google Deep Researchは、以下のように活用されています。
- マーケティング戦略の立案
- 投資での企業分析
- 動画の企画
- 論文の作成
- 最新技術の調査
あなたの生活やビジネスのあらゆる場面で、Deep Researchは強力な味方になります。今後さらにアップデートが進めば、使いやすさや精度も一層向上していくことでしょう。
Google Deep Researchを使いこなして、あなたの生活を効率的で、より豊かに変化させてください。