2023年末以降、OpenAIが月額約300万円にも上る新しいAIサービス「エージェント」を準備中だという報道が注目を集めています。
既に多くの企業が導入に意欲を示し、日本国内でもソフトバンクグループとの提携により2025年にも本格展開が始まる見込みです。
本記事では、そんなOpenAIが計画中の「月額約300万円のAIサービス」についてわかりやすく解説します。
OpenAIが計画中の「エージェント」とは?
OpenAIの「エージェント」は、従来のチャットボットの枠を超えて自律的にタスクを実行できる高度なAIアシスタントです。
目的を伝えるだけで、自分専用の仮想ブラウザを起動し、ウェブ検索からフォーム入力まで人間の代理人のように動いてくれます。

予約手続きなどの繰り返し業務はもちろん、研究や開発にも対応できる高機能が特徴です。
月額約300万円の理由
OpenAIが開発中のこの最上位エージェントは「PhDレベル」と称され、研究開発や高度なリサーチ業務に対応できる機能が備わっています。



たとえば、膨大な学術論文や実験データの分析・仮説検証を自動化するなど、博士号取得者に匹敵すると謳われるほどの知的サポートを提供するため、利用料金も跳ね上がるというわけです。
OpenAIはエージェント事業を収益の柱と位置づけており、大企業や研究機関向けにプレミアムなサービスとして提供する狙いがあります。
中間プランの月額約150万円もある?
実際には3つのプランが検討されており、最も高額な月額約300万円のプラン(研究機関・R&D部門向け)以外に、下記のような段階的な構成が予定されています。
- 中間プラン(月額約150万円):ソフトウェア開発者向け
- エントリープラン(月額約30万円):弁護士や金融アナリストなど専門職向け
コード作成やバグ修正を自動で行う「AIソフトウェアエンジニア」的機能を望む企業や、高度な知的作業を補助するサービスを求める専門職は、予算や用途に応じてプランを選択できるようになります。
既存のChatGPT Plusと何が違うのか
従来のChatGPT Plus(月額20ドル)やChatGPT Pro(月額200ドル)と比べると、エージェントは「自動でブラウザ操作を行う」「高度な専門分野のリサーチにまで対応する」など、“自律実行”が大きな強みとなります。



ChatGPT PlusやEnterpriseはあくまで「会話・文章生成をサポートする」形がメインであり、実際のブラウザ操作やアクションは利用者自身の手を借りていました。
エージェントはこの一連の作業そのものを機械に任せられるという点で、より踏み込んだビジネス活用が期待できます。
OpenAI「エージェント」の正式リリースはいつ頃?
2024年前後からベータ版(研究プレビュー)として「Operator」というエージェントが一部ユーザーに試用提供されています。


今後、企業向けの正式な販売は2025年中に始まる見通しです。



日本市場ではソフトバンクグループとの合弁会社が設立され、同年中の本格展開が計画されています。
価格や詳細な提供形態はまだ最終決定には至っておらず、研究プレビューを通じたユーザーフィードバックを踏まえて調整が進められるとみられています。
OpenAIエージェントの導入メリットとリスク
次に、OpenAIエージェントの活用がもたらすメリットと潜在的なリスクについて見ていきましょう。
導入メリット:専門職・研究分野の効率化
OpenAIエージェントの導入により、以下のようなメリットが期待されています。
- ルーチン業務の自動化:書類作成やデータ入力といった繰り返しの作業を効率化し、業務負担を軽減。
- 高度な分析とリサーチ支援:博士レベルの知能を活かし、学術論文のレビューや実験データの仮説検証をサポート。
- 開発プロセスの大幅な効率化:ソフトウェアエンジニア向けの機能として、コードの生成やバグ修正を自動化し、生産性を向上。
人手不足が深刻な企業や競争の激しい業界では、初期導入コストが高くても、最終的には十分なROI(投資対効果)が期待できると考えられています。
導入リスク:誤操作やセキュリティ面の課題
一方で、ブラウザ操作をAIに任せるリスクもあります。
- 誤作動やバグによるリスク:研究プレビュー段階では、操作ミスや予期しない不具合が発生する可能性がある。
- 機密情報の管理:AIがログイン情報や決済データを扱うため、厳格なセキュリティ対策が求められる。
- 責任の所在が不明確:AIの誤判断やミスが発生した際、誰が責任を負うのか法的な整理が必要となる。
大規模なビジネスで導入する場合、人的なチェック体制の強化やセキュリティガイドラインの整備を徹底することが不可欠となりそうです。
OpenAIエージェントの実際の活用事例
最後に、OpenAIエージェントが実際にどのように活用されているのか、具体的な事例を見ていきましょう。
ソフトバンクグループの大規模導入
ソフトバンクとOpenAIは2025年に合弁会社を設立し、日本国内でのエージェント活用を本格化させる予定です。
ソフトバンクグループ内の通信、メディア、金融、さらにはArm社の半導体事業まで含め、年間4,500億円規模の投資を行うとされています。
AIは財務報告書のドラフト作成や社内問い合わせ対応など、日常業務のさまざまな場面で活用が進んでおり、これにより人的リソースをより創造的な業務に集中させることを目指しています。
ECや旅行予約での実証実験
アメリカでは既にeBay、Instacart、UberなどがOpenAIのエージェント「Operator」を使った実証実験をスタートしています。
たとえばECサイトで「商品検索〜カート追加〜購入手続き」までを自動化し、旅行サイトでもツアー予約をエージェントが代行するなど、人間が行う複雑なウェブ操作を自律的に実行しています。
今後、飲食や物流サービスでも活用が拡大すれば、一気に“AIエージェントが動かすビジネス”が増える可能性があります。
まとめ
OpenAIが開発を進める「エージェント」は、高度なAIモデルを搭載し、ウェブ操作から研究業務まで自律的にこなせる画期的なサービスです。
その代わり、月額約300万円という高額プランも含む複数の料金設定が想定され、大企業・研究機関向けのプレミアム路線を打ち出しています。
今後もOpenAIの正式リリース情報や実運用事例が出そろうにつれ、「博士号レベルのAIアシスタント」をどのように活かすかが、多くのビジネスパーソンにとって重要な検討課題になりそうです。
自社の競争力向上を狙う上では、最新動向をこまめにチェックし、活用可能性を模索してみる価値があるでしょう。