動画を作成するには、撮影に時間がかかりますが、編集にも多くの時間が必要です。しかし、近年登場した動画編集AIツールが、革命ともいえる効率化を成し遂げました。
この記事では、動画編集AIツールの概要や、おすすめの動画編集ツールを紹介します。
初心者向けから映像のプロが使用するツールまで幅広く紹介するので、あなたに最適なツールが見つかるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
AIを活用した動画編集とは?
動画編集は手間ひまのかかる作業ですが、AIを活用した動画編集が登場して劇的に変化しました。
動画編集に欠かせないカット編集や文字起こしの作業を、AIが動画を分析して自動でおこなってくれるためです。
AIが動画編集をおこなうメリットは、おもに2つあります。
1つ目は、大幅な効率化により作業時間を短縮できる点です。
動画編集の経験がある人であれば分かりますが、カット編集やテロップ入れなどは時間がかかる作業です。たとえば、10分の動画を編集するのに、10時間前後かかるといわれています。
時間のかかる作業をAIが代行すれば、カット編集やテロップ入れは数分で完了します。
2つ目は、AIが作業をおこなえば、初心者でも高クオリティな動画を作れる点です。
動画編集の初心者は、カット割りが不自然だったり、違和感を感じる文字の大きさやフォントだったり、上手な編集ができません。AIが動画編集をおこなえば、これまでに学習した内容から、高クオリティな動画を作ってくれるでしょう。
動画編集AIツールの活用方法
動画編集AIには、さまざまな機能が盛り込まれています。具体的には、以下のような編集作業が可能です。
- カット編集
- トリミング
- 背景除去
- カラーグレーディング
- モザイクの追従
- テロップ入れ
上記の作業をAIに任せれば、動画編集の大部分が自動化できます。実際にプロの現場でも、動画編集AIを活用しているケースは多いです。
今後、AIの動画編集能力が向上すれば、人間の作業が不要になる時代が来るかもしれません。
おすすめの動画編集AIツール7選
多くの企業が動画編集AIツールを公開していて、機能や特徴はそれぞれ異なります。ここでは、おすすめの動画編集AIツール7選を紹介します。
おすすめツール | クオリティ | できること | 料金 | 操作性 |
---|---|---|---|---|
PowerDirector | ◎ | 音声読み上げ 字幕生成 背景除去 ノイズ除去 | PowerDirector 2025 Ultimate(買い切り版):16,980円 PowerDirector 365:2,180円/月 | ◎ |
NoLang | 〇 | ショート動画生成 対話動画生成 | プラス:980円/月(動画生成40回) スタンダード:2,980円/月(動画生成200回) プレミアム:7,980円/月(動画生成700回) | ◎ |
Filmora | 〇 | 動画ノイズ除去 音声補正 オブジェクトリムーバー サウンドエフェクト 追加画像生成 | 無料プランあり(透かしが入る) ベーシック:7,980円/年(AIクレジットなし) アドバンス:8,980円/年(1000AIクレジット/月) 永続ライセンス:9,980円(1000AIクレジット) | ◎ |
Canva | 〇 | テキストから動画生成 画像から動画生成 背景除去自動で画面サイズ変更 | 無料プラン:0円(AI動画編集不可) プロプラン:11,800円/年 チームスプラン:15,000円/年(1人あたり) エンタープライズプラン:問い合わせ | 〇 |
Adobe Premiere Pro | ◎ | 映像や音声の長さを増やす 小道具の置き換え 背景変更 文字起こし オートリフレーム | 3,280円/月 | 〇 |
Runway | 〇 | 背景の削除 顔のぼかし モーショントラッキング 小道具の置き換え | 無料プランスタンダードプラン:15ドル/月 プロプラン:35ドル/月 アンリミテッド:95ドル/月 エンタープライズ:1500ドル/年 | 〇 |
Lumen5 | 〇 | Zoomの録画データの編集 | ベーシック:29ドル/月 スターター:79ドル/月 プロフェッショナル:199ドル/月 | ◎ |
1.PowerDirector|スマホアプリでも使用できる初心者向けの動画編集AI
PowerDirectorは、9年連続でシェアNo.1を誇る、オールマイティに動画編集ができるサービスです。
また、スマートフォンのアプリも用意されていて、外出先で動画編集も可能です。
AIによるテロップ入れやカット編集などはもちろんのこと、背景除去やノイズ除去など、編集の幅を広げる機能を複数搭載。画像生成AIによる素材作りができ、ストック素材も豊富です。PowerDirectorがあれば、動画編集作業を完結できるでしょう。
PowerDirectorを購入する際は、「買い切り版」と「サブスクリプション版」があります。
買い切り版は一度購入すれば、月額費用を支払う必要はありませんが、機能の更新やアップデートがないので注意してください。常に最新の状態で動画編集したいのであれば、サブスクリプション版を購入しましょう。
PowerDirectorは、初心者でもすぐに動画編集を始められる操作性が人気です。動画編集でいろいろなことをしたいけど、難しい操作は学びたくない人におすすめです。
2.NoLang|テキストからショート動画を作れる動画編集AI
NoLangは、テキストで質問をすると、解説動画を生成してくれる動画編集AIです。
たとえば、「夏が暑い理由は?」と入力すると、AIがショート動画で回答してくれます。また、WebページやPDFを要約して、ショート動画を作ることも可能です。
さらに、NoLangでは生成した動画の編集もできます。
- 字幕のテキストを編集
- 読み方の修正
- 画像や背景の差し替え
上記のような編集が可能ですが、AIによる編集ではないため注意してください。
また、NoLangは、あくまで質問に回答したり、文章を要約したりして動画を生成するAIです。
つまり、あなたが撮影した動画をアップロードしての編集はできません。
ショート動画を作りたい、動画編集を自動化したい人は、NoLangがおすすめです。
3.Filmora|会話で編集指示ができる動画編集AI
Filmoraは、会話形式で編集の指示ができる動画編集AIです。
「AI Copilot機能」を使うとチャット画面が表示されて、動画をどのように編集したいか入力できます。
たとえば、「動画を明るくしてください。」と入力すると、AIが「【適用】をクリックすると、動画の明るさが20%増します。」と提案してくれます。
会話形式であれば、操作画面を詳しく覚える必要がないため、慣れていない人でもスムーズに使いこなせるでしょう。
その他にも、以下のようなAI機能があります。
- 動画ノイズ除去
- 音声補正
- オブジェクトリムーバー
- サウンドエフェクト追加
- 画像生成
基本的な機能が揃っているFilmoraですが、一部の上級者からは「もっと細かく調整できるようにしてほしい」との声も上がっています。ビジネスレベルの動画編集をするには、物足りない可能性があるので注意が必要です。
その反面、初心者には扱いやすく、十分な機能が揃っています。趣味で動画投稿をしたり、自分のための記録動画を簡単に作成したい人におすすめです。
4.Canva|アイキャッチ画像も作成できる動画編集AI
Canvaは、動画の背景除去や滑らかなトランジションを自動で加えられる、動画編集AIです。さらに、テキストや画像から動画生成できるため、動画編集AIと組み合わせれば、幅広いジャンルの動画を作れるでしょう。
また、Canvaはもともとデザイン作成サービスなので、動画に必要なアイキャッチ画像やサムネイル画像も簡単に作れます。
ただし、日本では動画編集AIの機能の一部は未リリースです。
Canva公式からは、公開に向けて作業中とアナウンスがありますが、時期は未定なので注意してください。
Canvaは動画編集AIを使うだけでなく、動画のアイキャッチ画像や、挿入する素材も一緒に作りたい人におすすめです。
5.Adobe Premiere Pro|カット割りや字幕などオールマイティに活躍する動画編集AI
Adobe Premiere Proは、動画制作の初心者から、ハリウッドの映像制作者まで幅広く愛される動画編集サービスです。
Adobe Premiere Proの動画編集AIは、以下のように豊富な動画編集AIの機能が付いています。
- 映像や音声の長さを増やす
- 動画内に小道具を追加、削除
- 文字起こし
- ノイズを除去してスピーチを強調
- 自動カラー補正
- サウンドとビジュアルの一致 など
上記はほんの一例で、他にも動画編集に役立つAI機能が搭載されています。AIが動画編集を完結させてくれる、オールマイティな機能性といえるでしょう。
ただし、機能が豊富なため、使いこなすにはマニュアルを読んで学習する必要があります。手っ取り早くお手軽な動画編集をしたいのであれば、他の動画編集ソフトを使用した方がいいでしょう。
じっくりと機能を覚えて、プロレベルの動画編集をしたい人におすすめのサービスです。
6.Runway|無料でも利用できる動画編集AI
多くの動画編集AIは有料ですが、Runwayは無料版でも利用可能です。
動画編集AIの機能は、背景の削除や顔のぼかし・モーショントラッキングなど基本的なものが揃っています。
また、「AIトレーニング機能」は、ユーザーが独自のセットを利用して、AIモデルをトレーニング可能です。AIトレーニングを活用すれば、AIがあなた好みの編集をしてくれるでしょう。
ただし、Runwayは、動画編集よりも動画生成がメインのAIです。動画編集機能が充実しているわけではないので、注意が必要です。
高クオリティな動画を生成しつつ、生成した動画をAIで編集したい人におすすめです。
7.Lumen5|ビジネスのアイデアを具体化する動画編集AI
Lumen5は、ビジネスでの使用に最適な動画編集AIです。以下のように、企業のマーケティングに欠かせない機能が搭載されているためです。
- ブログ記事を動画にする
- トーキングヘッズの作成
- 字幕の自動生成
- Zoomの録画データを動画で要約
- トランスクリプトの編集
ビジネス向けテンプレートも多数用意されていて、初心者でもスムーズに動画を作れるでしょう。
直感的に操作できるUIも、嬉しいポイントです。
無料プランも用意されていますが、お試し程度の機能しか使えず、本格的な動画編集は難しいです。
ビジネスで使用するのであれば、早い段階で有料プランに移行しましょう。
Lumen5は企業や商品の紹介動画・プレゼンテーション動画を作りたい人におすすめです。動画制作の専門部署がなくて困っていても、Lumen5を使えば初心者でも簡単に動画を作れます。
アイフォン/アイパッド対応のAI動画編集アプリ
動画編集はPCの前で作業するだけでなく、気軽にどこでも編集できるアプリが求められています。ここでは、アイフォン/アイパッド対応のAI動画編集アプリを紹介します。
PowerDirector
PowerDirectorは、アイフォン/アイパッドだけでなく、Androidにも対応しています。PC版の操作性はそのままに、スマホでも使いやすいように改良されています。
ダンス動画にエフェクトを加える「AIボディエフェクト」や、声バレ防止のボイスチェンジャー機能など、SNSを意識した機能も豊富です。
機能が豊富なため、性能の低いスマホでは処理できずに落ちてしまうケースがあります。高画質な動画や、処理の多い動画を編集する場合は注意してください。
スマホ向けに最適化されたAI動画編集アプリを探している人におすすめです。
VivaVideo
VivaVideoは、「恋」「旅」など複数のテーマが用意されていて、写真を数枚入れるだけで動画を一瞬で作れるアプリです。
また、AIによる背景の削除や入れ替え、モザイク入れなど、基本的な機能が搭載されています。商用フリーの音楽や効果音が500曲以上用意されているため、素材を探す必要はありません。
有料プランには、3日間のお試し期間があります。しかし、解約を忘れると、自動で有料プランに移行されるため注意してください。
VivaVideoは簡単にテーマの異なる短い動画を作成できるので、SNSで友人向けにアップロードしたい人におすすめです。
無料で使える動画編集AIツール・アプリ
動画編集AIツールやアプリは、まずは無料でお試ししたい人も多いです。ここでは、無料で使える動画編集AIツールやアプリを紹介します。
Runway
Runwayのフリープランは、いくつかの制限がありますが、多くの編集機能を無料で使用できます。フリープランの制限には、以下のようなものがあります。
- クレジットを追加購入できない
- ウォーターマーク(透かし)が表示される
- 高画質での出力ができない
- 作成できるプロジェクト数が3つまで
上記のような制限はありますが、Runwayの動画編集機能を十分に使用できます。無料で使用してみて、使いやすかったら有料プランに移行しましょう。
Filmora
Filmoraには無料版が用意されていて、有料版とほぼ同じ機能を利用可能です。動画編集AIの性能を存分に確かめられるでしょう。
ただし、無料版は動画を出力する際に、ウォーターマーク(透かし)が表示されます。
大きめのウォーターマークで目立つため、表示させたくないのであれば有料版を購入しましょう。
動画編集AIツールに関するよくある質問
動画編集AIを使用する前に、使いこなすのに必要な注意点を理解し、デバイスのスペックは問題ないか確認しましょう。ここでは、動画編集AIに関する、よくある質問に回答します。
動画編集AIツールを使う時の注意点は?
動画編集AIツールで作成した動画は、以下の2点を確認してください。
- 著作権や商標権を侵害していないか
- 倫理的に問題の内容か
動画編集AIは作業を効率化してくれますが、任せっきりにすると、法律や倫理的に問題が出る可能性があります。
動画の内容によっては炎上して、ビジネス上に大きな影響を与える可能性があるため、公開前に厳しくチェックしましょう。
動画編集AIツールに必要なスペックは?
動画編集AIツールを使用するのであれば、パソコンのスペックはそれなりのものが求められます。
フルHDの解像度で動画編集をする場合、以下のスペックを参考にしてください。
- CPU:最新世代のCorei5またはRyzen5
- メモリ:16GB
- GPU:搭載されていることが望ましい
アイフォン/アイパッドで動画編集ツールを使用するには、iOS15.0以降が必要です。
ただし、アプリによって必要なスペックは異なるので、ダウンロード前に確認してください。
将来的に動画編集の仕事はAIに取られる?
動画編集AIは速いスピードで進化しているため、将来的に動画編集の多くの部分はAIに取られるでしょう。
特に文字起こしのような作業的な仕事をメインにしている動画編集者は、AIに仕事を取られる可能性が高いです。
しかし、動画編集AIが編集した動画は、「似通っていてオリジナリティがない」との評価も多く、現時点ではプロの技術と比べると見劣りします。
芸術性や独創性・高い質を求める動画は、今度も動画編集者の能力が必要となります。AIに仕事を取られる不安がある人は、編集技術を磨いて、オリジナリティを身につけましょう。
まとめ|AI動画編集ツールで効率的な編集を
AI動画編集ツールとは、テロップ入れやカット編集などの動画編集に必要な作業を、AIが代わりにおこなってくれるサービスです。
人の手では、10分の動画を編集するのに、10時間かかるといわれています。AI動画編集ツールを使用することで、大幅に作業時間を短縮可能です。
おすすめのAI動画編集ツールには、「PowerDirector」や「NoLang」などがあります。それぞれのツールには特色があるため、使用目的に合ったツールを選ぶことが大切です。
スマホを活用して屋外でも動画編集できたり、無料で使えたりするツールやアプリもあります。今回紹介したおすすめのAI動画編集ツールを参考にして、あなたに最適なサービスを選んでください。