AIにはいくつかの種類があり、ここ数年で特に注目されているのが「生成AI」です。
生成AIは文章や画像など、さまざまなコンテンツを生み出せます。政府や行政がAI人材の活用に力を入れているため、生成AIは生活に欠かせないツールとなるでしょう。
この記事では、生成AIを使ったことがない方に向けて、生成AIの種類や活用方法について分かりやすく解説します。
すぐに使える人気の生成AIも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
【簡単解説】生成AI(ジェネレーティブAI)とは?
生成AIとは、学習したデータから、文章や画像などを自動で作り出すAI(人工知能)です。さまざまなコンテンツを生成できるため、個人的な利用だけでなくビジネスシーンでも活用されています。
例えば、生成AIは以下のようなものを生み出せます。
- 画像
- 文章
- 音声
- 動画
画像生成では企業のロゴやチラシの挿絵、文章生成ではメールの返信やプログラムのコードなどを生み出せます。
これまで人の手で作成していたものを生成AIに任せれば、業務を大幅に効率化できるでしょう。
「生成AI」と「従来のAI」の違い
生成AIは比較的新しい技術で、従来のAIとはいくつかの違いがあります。
生成AIと従来のAIの大きな違いは、「自動で学習して新しいものを作り出せるか」にあります。
従来のAIは、利用者側で細かなルールやデータを設定したうえで、データを生成していました。
生成AIは細かなルールの設定は不要で、大まかに条件を指定すれば、想像的なデータを生み出せるよ。
従来のAIよりも質の高い文章や画像を生み出せるため、人間にしか対応できないとされていた分野でも活躍しています。
従来のAI | 生成AI | |
主な利用目的 | ルーティンワークの自動化 | 画像や文章生成などクリエイティブな作業 |
学習データ | 数値やテキストなどの構造化されたデータ | 構造化されていないデータ |
ルールの設定 | 細かな指示が必要 | 大まかな指示のみで生成可能 |
生成できるもの | 学習データから適切な回答を生成 | オリジナルコンテンツを生成 |
生成AIの需要が高くなっている背景
生成AIの需要が高まっている背景は、日本社会の構造が大きく関わっています。
日本社会は少子高齢化による労働人口の減少で、生成AIにより仕事を効率化することが求められているためです。
経済産業省が2023年8月に発表した「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」によると、プロンプトの習熟のような生成AIを適切に使うスキルが重要になるとされています。
労働人口の減少による働き手不足問題は、生成AIによる効率化が大きく貢献できるでしょう。
生成AIでできる3つのこと
生成AIは、作業の効率化や新たなアイディアの提案など、多くのシーンで活躍します。ここでは、生成AIでできる3つのことを紹介します。
作業の大幅な効率化
生成AIを活用すると、これまで人間が頭を悩ませて生み出していたものを一瞬で作成でき、作業の大幅な効率化に繋がるでしょう。
例えば、イラストを製作する場合、一般的に以下の手順を踏んで完成します。
- 大まかな構図を考える
- 下書きする
- 清書をする
- 色付けする
- 仕上げ
生成AIを使用すると、プロンプトでどのような画像を製作したいか指示するだけで完成します。
プロンプトを考える時間は必要ですが、人間の手で作成するよりも時間を「大幅に削減可能」です。
実際に三菱UFJ銀行では、実際にChatGPTで社内文書の作成をしていて、月22万時間の労働時間削減に繋がると試算しています。
新たなアイデアの提案
生成AIは従来のAIと違い、「0から1を生み出せる」ため、新たなアイデアの提案もしてくれます。生成AIのアイデア提案は、以下のようなシーンで活用可能です。
- キャッチコピーの作成
- スピーチのネタ
- 新商品の販促活動の方法
- 旅行の行き先の決定
生成AIは定番のアイデアから、奇抜な発想のアイデアまで幅広く提案してくれます。
一人で考えていて「もうアイデアが浮かばない!」と煮詰まったときに利用してはいかがでしょうか?
資料の要約
生成AIは、論文や会議資料など長文の書類から要約を作成して、短くまとめることが可能です。
例えば、会議の資料を読み込む時間がないときに、生成AIに要約してもらえば内容のポイントを掴めるよ。
また、数多くの論文の内容を知りたいときには、すべて読んでいると膨大な時間が必要となるため、生成AIの要約を読めば時間を短縮可能です。
「5000文字に要約して」という形で文字数の指定もできるため、余裕のある時間に合わせて要約できます。
生成AIの種類
生成AIにはさまざまな種類があり、以下のように分類されます。
- テキスト生成
- 画像生成
- 音声生成
- 動画生成
ここでは、それぞれの生成AIの概要や、何ができるかについて解説します。
1.テキスト生成
テキスト生成AIは、プロンプトでテキストの内容を指示すると、自動で文章を生成するAIです。作成できる文章は多岐に渡り、以下のようなシーンで活用されています。
- キャッチコピー
- 小説
- 歌詞
- ビジネス文書
- 記事
- 文章の要約
- アイデア出し
趣味で小説を執筆している方は、書き出しに悩みがちですが、テキスト生成AIに書き出しだけ任せることも可能です。
ビジネス文書を作成すれば、書類作成に追われる時間を大幅に短縮できるでしょう。
2.画像生成
画像生成AIは、テキストで指示をするだけで、自動で画像を作成するAIです。
さまざまな画風に対応していて、実写風やイラスト風などイメージした通りの画像を作成できます。
自社のWeb上に掲載するチラシのイラストや、挿絵などに活用できます。
イラストレーターに発注していた画像を、プロンプトだけで作成できるため、作業の効率化にも繋がるAIです。
3.音声生成
音声生成AIは、入力した話し手の声を、まるで同じ人が話しているかのような音声を生成できるAIです。
一昔前の音声生成AIは機械的な音声でしたが、技術の進化により人間に近い自然な音声を作り出せます。
テレビ番組やYouTubeの動画などにも多く使用されていて、違和感がないためAIだと気が付かない人も多いです。
YouTubeに動画を投稿したいけど、自分の声でナレーションをしたくない人におすすめのAIです。
4.動画生成
動画生成AIは、テキストや画像などで指示した内容の動画を生成できるAIです。
動画の生成は難易度が高く、クオリティの低いサービスが多くありましたが、最近では質が高まっています。
動画生成AIは、「YouTubeや企業PRの動画」などで活用されています。
被写体の撮影許可の交渉やロケーション探しの必要がなく、人的リソースを抑えて動画を作成可能だよ。
生成AIを活用した便利な最新技術4選
人気の生成AIには、ChatGPTやCanvaなどがあります。ここでは、生成AIを活用した便利な最新技術4選を紹介します。
1.ChatGPT|テキスト生成AI
ChatGPTとは、アメリカのOpenAI社が開発した、テキスト生成AIです。
チャット形式で会話をしながらAIに質問できるため「使いやすさが評判」を呼び世界中の人に利用されています。
無料で利用できるGPT-3.5でも十分に精度の高い会話ができますが、月額20ドルで利用できるGPT-4.0はアメリカの司法試験に合格できるレベルのクオリティです。さらに、便利な機能を追加できるプラグインも利用できます。
チャットで質問に答えてくれるだけでなく、以下のことにも対応可能です。
- 文章の要約
- プログラミング
- 翻訳
- 文章やプログラムの添削
- データ整理など表作成
ChatGPTは、上記の項目に対応していて、生成AIの中でも活用の幅が広いといえるでしょう。
仕事やプライベートなどシーンを問わず利用できるため、操作方法に慣れておくのがおすすめです。
ChatGPTについては、以下の記事で使い方を詳しく解説しています。
2.Canva|画像生成AI
Canvaはもともと画像編集サービスでしたが、現在では画像生成もできる総合的なサービスとなりました。
プロンプトを入力するだけで、誰でも簡単に画像を生成可能です。また、画風を指定できる「スタイル」は、以下のようなものがあります。
- 映画的
- 水彩画
- 写真
- アニメ
- 3D
スタイルを利用すれば、プロンプトに慣れていない人でもイメージ通りの画像を生成できるでしょう。
例えば、プロンプトを「草原で球に載っているネコ」と指定したら、以下の画像が生成されます。
同じプロンプトでスタイルを「水彩画」に指定すると、優しい雰囲気の画像に変化します。
Canvaで生成した画像は、自社のホームページに載せる画像や、自作小説の挿絵など幅広く活用可能です。
生成した画像は、Canvaの画像編集機能でテロップを入れたり、色調を変更したりもできます。
画像生成だけでなく、豊富な機能で画像編集もおこないたい方におすすめのサービスです。
3.VALL-E|音声生成AI
VALL-Eは、Microsoft社が開発した音声生成AIです。
「3秒ほどの音声データ」があれば、話し手の声を解析して、忠実に再現できます。さらに、話し手の感情の起伏や抑揚も再現できるため、従来の音声生成AIとは一線を画す性能を持っています。
VALL-Eの性能が高い理由は、膨大な音声データの学習をしているためです。約7000人が話す6万時間分の音声を学習しています。
6万時間分の音声データを学習したことにより、わずか3秒の音声から、自然な音声を生成できるのです。
音声生成AIは、YouTubeや企業PR動画のナレーションなどに活用されています。親しかった故人の音声が残っていたら、故人に似た音声を生成して、懐かしむこともできるでしょう。
今後、音声生成AIがより一般的になれば、活用の幅が広がっていくはずです。
4. Make-A-Video|動画生成AI
Make-A-Videoは、Facebookを運営するアメリカのMeta社が開発した動画生成AIです。以下の3つの方法から動画を生成できます。
- テキスト
- 画像
- 動画
既存の動画から別の動画を生成できるため、オリジナル動画の特徴を残しつつ、別バージョンの動画を作れます。
動画制作をするには、カメラやモデルの手配など多くの手間が必要です。
Make-A-Videoを使えばオフィスにいながら動画を作成できるため、作業時間を短縮できるでしょう。
生成AIの危険性と今後の課題
生成AIは便利なツールで活用していくべきですが、情報の誤りやセキュリティ問題などに懸念があります。ここでは、生成AIの危険性と今後の課題を解説します。
生成した情報の誤り
生成AIに何かを質問したときに、間違った回答が返ってくる可能性があります。
生成AIは学習したデータを元に回答するため、元のデータが間違えていると回答も間違えるためです。
特に多い誤りは、最新の情報を確認したいのに、古い情報が回答されることです。
例えば、ChatGPT3.5は2022年1月までの情報しか持っていないため、最新のニュースについて質問しても答えられません。
生成AIを利用する際は、間違えている可能性があることを念頭において、最終的に人間がチェックするようにしましょう。
セキュリティ問題
生成AIは急速なスピードで技術が進歩していますが、利用者側のセキュリティ意識は追い付いていないのが現状です。
生成AIはユーザーとやり取りした情報を学習するため、機密情報を入力すると、他のユーザーへの回答に利用される危険性があります。ビジネス上の機密情報を入力するのは、避けた方がいいでしょう。
企業で生成AIを使う場合は、機密情報を入力しないように社内規則を作る、機密情報の入力をブロックするシステムを構築する、などの対応を取ってください。
雇用の減少
さまざまな業務を効率化できる生成AIは、雇用の減少を招く危険性があります。例えば、AIの進化により、将来的に以下の職業が奪われるといわれています。
- 税理士、会計士
- イラストレーター
- タクシー運転手
- 薬剤師
- 一般事務員
- 警備員
- スーパーの店員
生成AIは驚くべきスピードで進化していて、できることも増え続けます。
現在は、奪われることのない職業だとしても、将来的には消えてしまうかもしれません。
AIが全盛になる時代に備えて、あなたの能力をどのように発揮するかを考えていきましょう。
まとめ
生成AIとは、学習したデータから文章や画像などを作り出すAIです。従来のAIと異なり、0から1を生み出せるため、これまで苦手だったクリエイティブな作業にも対応できます。
生成AIには、主に以下の種類があります。
- テキスト生成
- 画像生成
- 音声生成
- 動画生成
テキスト生成は活用の幅が広く、ビジネス文書の作成や論文の要約など、多くの人に使用されています。
しかし、生成した情報が誤っていることもあり、最終的には人間によるチェックが必要です。セキュリティ上の問題も発生する可能性があるため、企業で使用する場合は機密情報を入力しないようにルールを定めてください。
生成AIにより雇用が減少することが予想されますが、自分の力をどのように発揮するかを考えてAIを活用していきましょう。